• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

イカナゴはなぜ砂に潜るのか:行動の制御機構と高水温耐性

研究課題

研究課題/領域番号 19K06195
研究機関北里大学

研究代表者

吉永 龍起  北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (30406912)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードイカナゴ / 潜砂行動 / 概日リズム / 熱ストレス応答 / 水産資源
研究実績の概要

イカナゴ属魚類は砂に潜る特異な生態を有する.活動期は夜間を砂中で過ごし,また初夏から晩秋にかけては約半年間にわたって砂中に留まる.したがってイカナゴは一生の大半を砂中で過ごす魚類である.イカナゴは水産資源として利用され,また沿岸生態系の食物連鎖を支える重要種である.しかし近年は全国的に漁獲量が激減し,資源の回復が望まれている.瀬戸内海では過去に海底の砂が採集され,これがイカナゴの減少を引き起こした可能性が指摘されている.一方,観察が困難な砂中でどのような行動を取るのか未知なままであった.そこで本研究は,飼育条件下においてイカナゴの潜砂行動を詳細を観察することを目的とした.
1. 基質に透明な樹脂を用いて潜砂中の行動を観察した.その結果,瞬間的な体勢の変化と上層への移動;基質中での移動;短時間の遊泳行動が観察され,暗期の行動の発現回数は暗期終盤に集中していた.そこで,潜砂状態での行動が活発化する覚醒行動と定義した.
2. 白色の砂を敷き詰めて,水槽上部から観察することで鉛直方向の移動を観察した.その結果,暗期序盤は深部に定位し,その後は明期の開始時刻まで徐々に底質表層へと移動することが明らかとなった.また,この行動は光周期に応じた生物時計によって制御されていることが分かった.
3. 白色の砂を使って底質深度の影響を調べた.深度を1 cmもしくは7 cmとした水槽で潜砂行動を観察したところ,深い底質のみに潜砂することが分かった.また浅い底質のみの環境においては,通常は潜砂を続ける暗期に短時間の遊泳が頻発することが分かった.すなわち,イカナゴの潜砂には一定以上の深度が必要なことが明らかとなった.
以上より,イカナゴは砂中で静止状態にあるのではなく,日周リズムに応じて行動が発現することが分かった.また潜砂には一定の深度が必要で,これを満たさない場合は被食のリスクが高まるものと考えられた.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] イカナゴ属魚類の潜砂行動における底質深度の影響2023

    • 著者名/発表者名
      小林勇斗,片岡真暉,阿見彌典子,吉永龍起
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会
  • [学会発表] イカナゴ属魚類における行動の制御機構:砂中の行動2022

    • 著者名/発表者名
      小林勇斗,片岡真暉,阿見彌典子,吉永龍起
    • 学会等名
      日本水産学会春季大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi