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2021 年度 実施状況報告書

日本海表層における懸濁態有機物の炭素・窒素アイソスケープの作成

研究課題

研究課題/領域番号 19K06198
研究機関国立研究開発法人水産研究・教育機構

研究代表者

児玉 武稔  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (20735899)

研究分担者 井桁 庸介  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(新潟), 主幹研究員 (50444138)
木暮 陽一  国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(新潟), 主幹研究員 (90371905)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード日本海 / 安定同位体比 / 懸濁態有機物 / 基礎生産
研究実績の概要

日本海で取得した懸濁態有機物の炭素・窒素安定同位体比の分析および結果の統計解析について進めた。安定同位体比の分析については、442試料の分析を終わらせ、季節的に均質ではないものの、統計解析には十分な分析結果を得ることができた。この結果について、統計解析をしたところ、日本海の安定同位体比については多峯性を示しており、ガウス混合モデルから4つのグループ(i-iv)に分類された。ほとんどの試料はグループii(n = 442)に分類され,そのグループのδ13CPOMとδ15NPOMの平均±標準偏差(sd)はそれぞれ-23.7 ± 1.2‰ と 3.1 ± 1.2‰ であった。グループiは低δ15NPOM (-2.1 ± 0.8‰, n = 11)、グループiiiは低δ13CPOM (-27.1 ± 1.0‰, n = 22)、グループivは高δ13CPOM (-20.7 ± 0.8‰, n = 34)が特徴であった。一般化線形モデル(GLM)を用いると、水温とクロロフィルa濃度がδ13CPOMに正の影響を与え、活発な光合成と植物プランクトンの増殖がδ13CPOMを上昇させることが支持された。サンプリング深度、緯度、塩分、硝酸塩濃度もGLMではδ13CPOMに有意な影響を与えたが、クラス間の差は有意なままであった。δ15NPOMの平均値は、日本海では主に硝酸塩を起点とした基礎生産が生じていることを示唆したが、GLMではδ15NPOMの変動は水温と塩分によって説明され、多くの海域で説明要因となる硝酸塩濃度は説明変数とならなかった。これは、長江、黒潮、大気など様々な硝酸塩起源が日本海の一次生産に重要であるためと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度は当初の計画では、分析を終え、解析を開始する予定であった。しかし、機械のランニングタイムが空いていたことや新型コロナの影響により出張が限られたことなどにより、分析についてほぼ全て終了し、さらに解析をほぼ終了することができた。また、年度末に論文化をすすめる時間が確保できたため、現在、解析結果は投稿目前である。このことは当初の計画よりも進展していると見なすことができる。

今後の研究の推進方策

これまでの結果を取りまとめ、論文を投稿し、今年度中の受理を目指す。また、動物プランクトンの測定結果と合わせて解析することで、生態系内の安定同位体比のさらなる知見を得ることを目指す。一方で、統計モデルを利用したIsoscapeについては、得られたデータの解析から、日本海の窒素源がかなり複雑で説明しにくく、モデルの説明力も低いことから、海洋大循環モデルを利用した投影については科学的な意味づけが乏しいため見送る予定である。

次年度使用額が生じた理由

年度末に予定していた研究打ち合わせについて、新型コロナウイルスの状況や、出張者の都合により、期間が短縮され、また航空券代も安くなった。また、同様に年度末におこなった英文校正費用についても予定よりも安い金額でできた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Carbon and nitrogen dynamics in the coastal Sea of Japan inferred from 15 years of measurements of stable isotope ratios of Calanus sinicus2022

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Ken-ichi、Nishimoto Atsushi、Yasui-Tamura Saori、Kogure Yoichi、Nakae Misato、Iguchi Naoki、Morimoto Haruyuki、Kodama Taketoshi
    • 雑誌名

      Ocean Science

      巻: 18 ページ: 295~305

    • DOI

      10.5194/os-18-295-2022

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Similarities of distributions and feeding habits between Bullet tuna, Auxis rochei, and Pacific bluefin tuna, Thunnus orientalis, larvae in the southern Sea of Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Kodama Taketoshi、Tawa Atsushi、Ishihara Taiki、Tanaka Yosuke
    • 雑誌名

      Progress in Oceanography

      巻: 202 ページ: 102758~102758

    • DOI

      10.1016/j.pocean.2022.102758

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Potential fluctuation of δ13C and δ15N values of small pelagic forage fish in the Sea of Japan and East China Sea2021

    • 著者名/発表者名
      Ohshimo Seiji、Kodama Taketoshi、Yasuda Tohya、Kitajima Satoshi、Tsuji Toshihiro、Kidokoro Hideaki、Tanaka Hiroshige
    • 雑誌名

      Marine and Freshwater Research

      巻: 72 ページ: 1811~1811

    • DOI

      10.1071/mf20351

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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