研究課題/領域番号 |
19K06201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
向井 徹 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (60209971)
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研究分担者 |
山本 潤 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (10292004)
長谷川 浩平 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (30826558)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 魚群探知機 / ソウハチ / 音響特性 / 音響資源調査 / 無鰾魚 |
研究実績の概要 |
本研究は,いまだかつて音響手法で行われたことのないカレイ類の現存量推定を,活発に遊泳するカレイ類の一種であるソウハチを対象として実現を目指す。これを実現するために,ソウハチの音響特性を野外調査と水槽実験で精密に調べ,音響資源調査に必要な基礎情報を蓄積し,本種の現存量を調べるための音響資源調査を実現するのが本研究の目的である。 2019年度は,北海道大学附属練習船うしお丸により,同船装備の周波数38kHz,120kHz,200kHzの3周波数の計量魚群探知機を用いて,4月から6月にかけてソウハチの現場調査を行った。そして,野外調査におけるソウハチ魚群のエコー形状の特徴把握ならびに周波数特性の解明を行った。その結果,今の段階では,ソウハチのエコーは中層にパッチ状に現れることがわかり,周波数特性では高周波数になるほど反応が強くなることがわかってきた。 また,函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型海水水槽における水槽実験を行い,懸垂法と自由遊泳法によりソウハチの超音波反射強度の測定を行った。懸垂法による実験では9個体のソウハチについて行い,自由遊泳法では10個体のソウハチをケージに入れ,その中を遊泳するソウハチの音響反射強度を調べた。その結果,ソウハチの超音波反射強度の体長依存性が見られ,懸垂法においても現場同様高周波数の方が超音波反射強度が強くなっていた。自由遊泳法においては,ステレオカメラによるソウハチの姿勢角分布を明らかにした。ソウハチの遊泳姿勢は,主に,水平より若干上を向いた状態であることが多かった。周波数特性については,他の方法と同様高周波数ほど音響反射強度が強くなる傾向が見て取れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野外調査,水槽実験ともに計画通り遂行できている。2020年度はさらにデータを増やすとともに,ソウハチの遊泳行動を調べることで目的達成に近づく。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度についても,北海道大学附属練習船うしお丸を用いて,4月から6月にかけてソウハチの現場調査を行い,エコーグラム上の反応とソウハチの関連付けを行うとともに,周波数特性を調べる。また,函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型海水水槽における水槽実験も継続し,懸垂法や自由遊泳法によるソウハチの超音波反射強度の測定を行い,姿勢角特性や周波数特性を調べる。さらに2020年度は同水槽において遊泳行動の観察を行い,活動の昼夜変化や遊泳姿勢を調べる。そして”浮きソウハチ”となる時間帯を調べ,音響調査に適した時間帯を特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していた水産学会春季大会の開催が中止になり旅費が必要なくなったため次年度使用額が生じた。これについては今年度の学会参加旅費あるいは調査旅費として使用する予定である。
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