研究課題/領域番号 |
19K06204
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
工藤 貴史 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00293093)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 漁業就業構造 / 地域漁業 / 漁業協同組合 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究実施計画に従い、課題1「限界集落化と地域再生を実現する経営組織」に関する先行研究レビュー、課題2「限界集落化する漁業地区の就業構造と家族経営の展望」、課題3「沿岸漁業における新たな経営形態とその発展可能性」について研究に取り組んだ。 課題1は地域再生を実現する経営組織として漁業協同組合の地域漁業再編機能に関わる先行研究をレビューするとともに、農業における集落営農組織との比較検討を行った。 課題2は兵庫県姫路市坊瀬島地区における漁業就業構造の変容過程と人口動態について現地調査を実施した。当地区では2000年まで漁場環境の変化に対応した生産構造を構築して漁業者数そして島内住民が増加してきたが、2000年代からは貧栄養化により漁業対象種が変化し、漁家漁業と雇用漁業との相互補完的な漁業就業構造が崩れたことから漁家の後継者が地区外に流出している。その結果、雇用漁業は乗組員を地区内で調達することが難しくなっており、地区外や外国人労働力への依存度が高まっている。この成果を専門誌に発表した。また長崎県新上五島町浜串地区における漁業就業構造の変容過程と限界集落化について現地調査を行った。当地区は1980年代まで大中型まき網漁業が集積しており、その乗組員が引退後に沿岸漁業へ移行する形で地域漁業と地域社会が成り立っていたが、その後、大中型まき網漁業が衰退するなかで地域の沿岸漁業へ参入する新規就業者がいなくなり、漁業者と住民の数が著しく減少している漁業集落が存在していることを明らかにした。 課題3は、今後、経営体数・漁業者数の減少に応じて地域全体の漁場・資源、漁法、 資本、労働力、経営形態の組み合わせを最適化して持続可能な漁業経営を創出し、それによって地域全体の漁業生産を維持する取り組みが重要であることを明らかにした。この成果は日本水産学会シンポジウムで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響により現地調査が当初の予定よりも研究の進捗状況は遅れている。限界集落化した漁村では、高齢者が多くコロナ感染を避けなければならず、またWEBでの聞き取りも技術的に難しいことも現地調査の進捗が遅れている理由である。そのため研究期間を1年間延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
課題1「限界集落化と地域再生を実現する経営組織」に関する先行研究レビューについては、漁業以外の地域再生の取り組みについてレビューして、漁業による地域再生の特徴を明らかにする。 課題2「限界集落化する漁業地区の就業構造と家族経営の展望」については、これまでGISによって限界集落化について分析した三重県において限界集落と存続集落のそれぞれについて就業構造と漁場利用について調査して、漁業漁村の持続可能性について検討する。 課題3「沿岸漁業における新たな経営形態とその発展可能性」については、共同経営、漁協自営などの新しい取り組みについて事例調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度においては現地調査を4地区を予定していたがしかできなかったために使用額が予定よりも少なくなり、次年度使用額が生じた。2023年度は2地区の出張旅費と2回の成果発表の旅費として使用し、一部は文献購入等にも使用する。
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