本研究では、2007年以降に国内のマボヤ養殖で問題となっている被嚢軟化症の原因鞭毛虫(ホヤムシ)の宿主範囲と国内分布域を明らかにすることを目的とし、軟化症の発生履歴がない国内海域でのホヤ類の調査を行った。山口県等の沿岸15ヶ所からマボヤを含むホヤ類を約500個体検査したが、ホヤムシは検出されず、ホヤムシは軟化症が発生している東北沿岸にのみ分布していることが示唆された。一方で、遺伝子解析によってマボヤを含む複数種のホヤ類からホヤムシに近縁な鞭毛虫が見出されたことにより、ホヤムシ以外にもホヤ類に寄生する未知の鞭毛虫が存在する可能性が示された。
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