研究課題/領域番号 |
19K06215
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
宮本 洋臣 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 研究員 (90582495)
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研究分担者 |
冨士 泰期 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(清水), 研究員 (50792660)
阿保 純一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主任研究員 (80456326)
奥西 武 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), グループ長 (60374576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サンマ仔稚魚 / 冬季黒潮続流域 / 耳石 / 食性 / 動植物プランクトン / 粒子追跡実験 |
研究実績の概要 |
黒潮続流域は、サンマやマイワシなど多くの水産上重要な魚種の生育場になっている。しかし、空間的に複雑かつ多様な黒潮続流域の環境が仔稚魚の成長や生残にどのように影響しているのかについては、十分に解明されていない。本研究はサンマ仔稚魚に注目し黒潮続流域で観測を行い、①サンマ仔稚魚の食性、②餌料環境、③成長と環境との関連、④輸送経路について調べ、冬季黒潮続流域の低次生産機構を明らかにするとともに、仔稚魚の最適成長環境の解明を試みた。 ①仔稚魚の食性解析:消化管内容物を分析した結果、カラヌス目カイアシ類が最も重要な餌であり、オンケア科とオイソナ科カイアシ類も良く食べられていた。また、成長に伴い大型のカラヌス目カイアシ類を食べている傾向も認められた。②餌料環境:黒潮続流域でのカイアシ類の群集構造を解析した結果、クロロフィル濃度が比較的高い流軸北側や黒潮再循環域では個体数密度が高く、一方、流軸上や亜熱帯域、続流下流部では低密度であった。③成長と環境との関連:東西海域間で仔稚魚の耳石日輪数と体長との関係を比較すると、同じ日齢であっても西側の海域の個体群の方が沖合に比べて体長が大きく、成長が早いことが示唆された。また、小型個体の成長には水温が重要な因子であったが、成長に伴って餌料環境が重要になることが示された。④輸送経路の推定: 表面水温から推定されたサンマの産卵場に粒子を配置し、40日間の粒子追跡実験を行い、輸送過程の年変動特性を調べた。その結果、潮流軸付近で孵化した個体が東経140~150度の良い餌料環境に輸送される確率が黒潮流路の変動に伴い減少していることが示された。以上総括すると、サンマ仔稚魚の最適成長条件として、高水温で孵化し、その後黒潮続流の北側など良い餌環境に輸送されることが挙げられ、産卵場の形成場所、黒潮続流の流れや混合により仔稚魚の成長や生残が左右される可能性がある。
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