研究課題
海洋危険生物にコンタクトした際の痛みの原因物質に関する研究は今までまったくといっていいほど行われておらず、痛み惹起物質に関する情報はほとんどない状態である。そこで、我々は海洋危険生物のモデル生物としてハブクラゲを選んだ。そしてハブクラゲが実際に刺傷被害を引き起こす器官である「刺胞」内に存在する物質の網羅的解析を行うことを目的とした。さらに、皮膚に炎症を引き起こし痛みを引き起こすことで有名なラン藻 Moorea producens(旧名 Lyngbya majuscula)について各種有毒成分を中心とした化合物群の単離を行い、さらに構造決定を行うことも目的とした。ハブクラゲの「刺胞」には我々が刺胞動物として特徴的な化合物として明らかにした刺胞内には、LC-MS による解析によってもcnidarin 類は「刺胞」内に特異的に局在する物質が明らかとなった。さらに特許の関係で現在まだ明かすことはできないが、極めて興味深い化合物も「刺胞」内に局在していることが明らかとなった。今後、これら化合物の刺胞内における役割を明らかにすることは急務である。さらにラン藻 Moorea producens から 40 を超える低分子化合物を単離してその化学構造の決定に成功した。その中には、皮膚に対して痛みや炎症を引き起こす原因物質であるaplysiatoxin の類縁体が数多く見つかった。また、それらは aplysiatoxin と比較して生合成のもととなる前駆体を同じであるのだろうが、基本骨格が大きくことなり、前駆体からの環化方法がことなるために生じたものであることが推測された。さらにこの推論を裏付けるように前駆体に極めて近い化合物を単離・構造決定することに成功した。このことはaplysiatoxin 類の生合成について新しい知見を加えるものであった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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