研究課題
肝機能不全につながる肝毒性および肝臓がんの発がんプロモーター活性を有すアオコ毒microcystin-LRの第三毒性として当研究室で見出したアノイキス抵抗性の獲得細胞の出現について,その細胞の性状解析を行った。すなわち,microcystin-LRの肝細胞への選択的な取り込み責任分子の一つOATP1B3を強制発現させたHEK293-OATP1B3細胞にMTTアッセイにおける半数致死濃度の2倍濃度のmicrocystin-LRを48時間曝露後に培養フラスコの底面から剥離・浮遊した細胞(HEK293-OATP1B3-preFL細胞)を回収し,細胞間接着に重要なEカドヘリンの遺伝子およびタンパク質の発現変動について解析した。解析の結果,未処理の細胞に比べてEカドヘリンの発現量が遺伝子,タンパク質ともに顕著に低下していた。この結果は,microcystin-LR曝露後に剥離・浮遊した細胞が再接着して増殖したHEK293-OATP1B3-FL細胞で得られた結果と同じ結果が得られた。また,microcystin-LRの細胞毒性を抑制することを当研究室で見出したアクテオシドの作用機序を解析した。解析の結果,アクテオシドはOATP1B3を介したmicrocystin-LRの細胞内への取り込みを非拮抗的に阻害することが明らかになった。さらにアクテオシドはmicrocysitin-LRの未同定の細胞内タンパク質との相互作用を阻害することが明らかになった。以上の結果から,microcystin-LRの肝毒性の発現ならびに毒性発現の抑制機序が少しずつ明らかになりつつあり,今後の研究の進展が期待される。
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