研究課題
本年度は、E. piscicidaのシアル酸代謝をさらに詳細に解析し、その病原性との関連について明らかにすることを目的とした。E. piscicidaのNanAシアリダーゼにより宿主細胞から切り離されたシアル酸は、N-acetyneuraminate lyase(NAL)によりN-アセチルマンノサミンに変換される経路、およびCMP-NANA合成酵素(SS)によりシアリル化に使用される経路による代謝される。NALを高発現するE.piscicida株では、細胞運動やバイオフィルム形成能が上昇していたが、この株ではnanK, nanE, およびglmUの各遺伝子の発現が亢進しており、菌体内N-アセチルグルコサミン量が増加していた。またCSSを高発現する菌株においては、細胞運動と宿主細胞への接着能が亢進していた。このCSS高発現株におけるシアロ複合糖質の変化を解析したところ、糖タンパク質と糖脂質の両方でシアリル化が亢進していることが明らかとなった。特に糖タンパク質のシアリル化が顕著であり、そのタンパク質の1つはフラジェリンであることが同定された。次に我々は、魚類の内在性脱シアリル化酵素Neu1とE. piscicida感染との関連性についても検討した。先に我々が樹立したNeu1-KOゼブラフィッシュをE. piscicidaに感染させたところ、野生型に比べてNeu1-KOで生残率が有意に低下した。このNeu1-KOゼブラフィッシュでのマクロファージの反応は野生型と変化していなかったが、リソソームでのシアロオリゴ糖の蓄積が認めれた。このことから、Neu1-KOゼブラフィッシュではオートファゴソームの形成異常により、E, piscicidaの感染が亢進することが示唆された。
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