研究課題/領域番号 |
19K06233
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
大迫 一史 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00452045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カタクチイワシ / 低未利用 / 有効利用 |
研究実績の概要 |
2020年度は、小型カタクチイワシからタンパク質をSalt water法(細切したラウンドに食塩水を添加してタンパク質を溶解させた後、不溶性成分を除去して蒸留水を添加して溶解したタンパク質を不溶化させ、これを遠心分離により沈殿させて回収する方法)で回収したタンパク質のゲル形特性について検討した。Salt water法で得られたタンパク質を、Acid-aided法(pHを等電点以下の酸性にして細切したラウンドを溶解し、不溶性成分を除去して、等電点に調整して再び遠心分離して回収する方法)、およびAlkaline-aided法(pHを等電点以上のアルカリ性にして細切したラウンドを溶解し、不溶性成分を除去して、等電点に調整して再び遠心分離して回収する方法)で得られたタンパク質と比較したところ、Acid-aided 法とAlkaline-aided法で得られたタンパク質についてはゲルを形成しなかった。これは、Acid-aided 法とAlkaline-aided法で得られたタンパク質は、回収工程中にタンパク質が変性していることが原因であると思われた。次に、未処理肉(カタクチイワシから直接手指で魚肉を回収)、水晒肉(アルカリ塩水晒)、Salt water法で得られたタンパク質の3者を比較したところ、Salt water法で得られたタンパク質は最も高いゲル形成能を示した。また、Ca-ATPase活性は、未処理肉と同程度で、水晒肉よりも高い傾向を示した。SDS-PAGEおよびTCA可溶ペプチドの結果から、いずれの肉もゲル形成ための加熱の段階で、内在性のプロテアーゼにより、とくにミオシンヘビーチェーンがかなりの程度分解されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度では、まず、プロテアーゼのタイプ(セリン型、システイン型、メタロ型、酸性型のいずれか)を明らかにする。次のステップとして、この活性を抑制するための天然由来インヒビターを検索し、高品質なかまぼこゲルを得るための製造法を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)学会への参加の予定であったが、コロナウイルスの蔓延のため、これが叶わなかった。また、研究そのものの進捗は問題が無いが、論文を執筆するのが遅れたため学会誌への投稿が1報にとどまり次年度使用額が生じた。 (計画)2021年度はコロナウイルスの状況にもよるが、あらためて学会への参加、また、論文の執筆、学会誌への投稿を行う予定である。
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