研究課題
2022年度に行ったムラサキイガイの結果と比較することを目的に、ムラサキインコガイより外套膜、エラ、消化管から細胞を集め、蛍光標識を行い、細胞表面の糖鎖プロファイルをレクチンアレイと蛍光スキャナーで解析した。ムラサキイガイの糖鎖プロファイルと比較し、共通および異なる糖鎖プロファイルを得た。外套膜からはガラクトース(Gal)をもつ糖鎖の存在が認められ、ムラサキイガイと同様、内在性リガンドの存在が示唆された。シアル酸をもつ糖鎖の存在も示唆された。比較を目的に、タンパク工学でセヴィルを作製し、活性を測定し、天然セヴィルと同じ糖鎖結合性、生化学的特徴を示すことが明らかになった。免疫系細胞への影響を評価するため、作製した人工セヴィルをマクロファージ分化系細胞へ添加し、培養した。高濃度において細胞死活性が起きたことはマイティレックと同様であったが、3-20μg/ml程度の低濃度で培養すると、細胞はマクロファージへ分化、増殖することが観察された。さらに細胞が伸長し核のセヴィルに関する免疫活性化作用が示せた。同活性において、MAPキナーゼ、JNK、p38の各リン酸化が行われていることを証明した。さらにマクロファージへの活性化は、セヴィルが二量体として存在しているときに起き、生物工学的に単量体へ改変した分子種では糖鎖結合性は持つものの、細胞分化能は失われた。上記観察から、細胞分化の調節には2量体としての存在が必須であることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究計画である2量体型イガイ科β-トレフォイルレクチンによる免疫細胞への分化能を計測できたため。
ムラサキインコガイβ-トレフォイルレクチン「セヴィル」がリンパ球系細胞をマクロファージへ分化させ、その条件として2量体化が必須であることを論文として発表する。
感染症の影響で、研究計画の一部が遅れたため
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