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2020 年度 実施状況報告書

レクチンは褐虫藻の獲得にどのように関与しているか

研究課題

研究課題/領域番号 19K06240
研究機関北里大学

研究代表者

神保 充  北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10291650)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードレクチン / サンゴ / 褐虫藻 / 共生
研究実績の概要

まず,ウスエダミドリイシ Acropora tenuis レクチンの一つ AtTL-2 について検討した.昨年度にAtTL-2 siRNA により,稚ポリプによる褐虫藻の獲得やその後の増殖が抑制された.再現性をみるため,本年度も同様な実験を行ったものの,明確な結果が得られなかった.産地や場所により,AtTL-2 の配列や発現が異なっている可能性がある.
次に,褐虫藻を誘引すると報告されている別のレクチン ActL についても検討した.ActLは,褐虫藻株により誘引されやすさが異なっていた.また,誘引されやすい褐虫藻株の方が,より稚ポリプに獲得されやすい傾向がみられた.したがって,ActLは褐虫藻の選択に関与していると示唆される.稚ポリプでは産地により獲得する褐虫藻が異なるという情報がある.そこで,石垣島産の稚ポリプと瀬底島産の稚ポリプに獲得される褐虫藻を比較したところ,産地により,よく獲得される褐虫藻株が異なることが分かった.瀬底島産の稚ポリプについて,ActL cDNA をクローニングした所,4つある遺伝子のうち,一つは発現がきわめて低いことが分かった.また,発現しているActLのアミノ酸配列は,石垣島産A. tenuis のActL とは異なっていた.両者を考え合わせて,レクチンが褐虫藻の獲得に影響していると推定される.したがって,ActLは褐虫藻の選択に関与していると示唆される.
また,新規に見いだしたIntelectin 様タンパク質は獲得された褐虫藻が増殖する際に,発現が高くなるという情報があった.そこでこのタンパク質に対応するsiRNA を稚ポリプに添加して褐虫藻の増殖を検討したが,siRNA の影響は明確ではなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回,AtTL-2 の再現性をみようとしたものの再現性がみられなかった.前回の状況では,新型コロナウイルスが広がっている状況で,5月にあったサンゴの産卵で健康状態のよいサンゴが得られなかった可能性がある.本年度は,5月初めに石垣島に行くことが出来,生残が良いサンゴを得ることが出来た.これを用いることで,より調子のよいサンゴを得ることができると推定される.

今後の研究の推進方策

生残がよい幼生が入手できたので,これを用いて,昨年と同様の実験を行う.また,発現できるレクチンとしてAtTL-2 があるので,これを結合させたビーズを作製し,サンゴに獲得させて,サンゴによる獲得が促進されるか検討する.Intelectin 様タンパク質については,siRNA を用いた抑制を検討する.また,異なる褐虫藻株を獲得した場合の発現変動を確認するため,増殖を観察すると共に,経時的な発現変化をqPCR を用いて検討する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] N-Acetyl-d-Glucosamine-Binding Lectin in Acropora tenuis Attracts Specific Symbiodiniaceae Cell Culture Strains2021

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Ryota、Jimbo Mitsuru、Tanimoto Fumika、Iijima Mariko、Yamashita Hiroshi、Suzuki Go、Harii Saki、Nakano Yoshikatsu、Yasumoto Ko、Watabe Shugo
    • 雑誌名

      Marine Drugs

      巻: 19 ページ: 146~146

    • DOI

      10.3390/md19030146

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 褐虫藻AJIS2-C2のプロテオーム解析2020

    • 著者名/発表者名
      神保 充
    • 学会等名
      日本水産学会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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