今後の研究の推進方策 |
雌性発生ホンモロコ卵への二重高温処理の至適タイミングの検討 (第一処理)紫外線照射による遺伝的不活性化精子(UV精子)を一腹卵に媒精し20℃で培養した受精卵に対し、受精後23、25、27、29、31分のいずれかに40.5℃1分間の第一処理を施す。第二処理は、第一処理終了15分後から開始する。これらの各実験区の孵化仔魚各個体の形態、倍数性、および各処理直前の卵の細胞分裂段階を判定し、これらから第一処理の適正タイミングを検討する。 (第二処理)第一処理の場合と同様にUV精液で雌性発生を誘起し、水温20℃で培養した受精卵に対し、受精26分後に第一処理を、さらに第一処理終了から10, 12.5, 15, 17.5, 20, 22.5, 25分後のいずれかに第二処理をそれぞれ施す。処理後は20℃で培養を継続し、孵化仔魚各個体の形態、倍数性を判定し、第二処理の適正タイミングを検討するとともに、各処理直前の卵の細胞学的時期を特定する。 マイクロサテライト遺伝子分析による発生個体の生成機序の検討 雌性発生実験で二倍体と判定された個体の複数のマイクロサテライト遺伝子座の遺伝子型を調べ、倍数化されたと判断した各個体の生成機序を判定し、各処理条件における見かけではない真の倍加半数体の作出効率を評価する。 細胞学的解析による卵割阻止メカニズムの解明 高温刺激処理による中心小体の破壊および母中心小体からの娘中心小体の複製について、中心小体を分染するcentrin抗体と母中心小体を判別するCEP170抗体の2種類の抗体を用いて免疫組織学的観察を試みる。 多回高温処理による作出仔魚の形態異常発生への防止効果の検討 倍数化率をいくら極めても生存性のある倍加半数体の生産に繋げられなければ、産業的には大きな意味を持たない。健常な倍加半数体の高効率な生産のために、様々な条件で多回高温処理を試みる。
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