原子力災害発災10年を機に復興庁の廃止や、福島県産米全量全袋検査からモニタリング検査への移行が検討されている。旧避難地域である双葉8町村も帰村・営農を再開している。原子力災害政策の転換に対し、放射能汚染における4段階のリスク管理工程を認証し、新たな産地形成に繋げる仕組みの検討が必要である。4段階の放射能汚染リスクとその対策は、①農地の汚染実態とそれに基づく除染対策、②作物の移行係数の相違と吸収抑制対策、③作物ごとの放射性物質移行リスクに基づく検査体制、④検査漏れリスクの懸念に対応した検査情報(分散の大きい米は全量、移行係数に従う他作物はサンプル)の開示である。本研究では、この間の「風評被害」状況及び流通構造の変化を踏まえた新たな検査体制として4段階のリスク管理工程の認証制度を提示し、それに基づく産地形成の在り方を検証する。震災前には戻れない福島の産地において新しい産地と流通システムを構築することが求められている。
|