研究課題/領域番号 |
19K06245
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
首藤 久人 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40292792)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 現物移転 / インド |
研究実績の概要 |
令和3年度には,昨年度まで取り組んでいたインドのアンドラ・プラデシュ州で2011年に行われた米の配給価格改定が家計の栄養摂取や食料消費行動に及ぼす効果に関する検証の精緻化を行った。ミクロ家計データを用いたこの分析については,前年度までに受益者層に加えて非受益者層の消費行動を考慮した差の差の差の手法によって検証を行っていたが,その検証手法の妥当性に関して検討を加えたものである。結果として,この配給価格改定の効果は,家計の消費行動には有意な影響を与えたものではないと考えられることが改めて確認された。一方で,価格改定の効果が一見有意にその消費に影響を与えたとみられる品目については,効果を受け入れるための想定が満たされていないことも統計学的に確認できた。インドのこの食料分配システムのデザインの変更の効果についてはさまざまな研究があるが、価格改定のみに限定された制度変更の食料消費に及ぼす効果を検証した研究としてはその蓄積が限られていることから、興味深い知見が得られたと考えている。この内容を学術誌に投稿する段階に至ったところである。
加えて,サブサハラアフリカのFood for Workを実施している国を対象にこの食料給付が食料消費行動や生産行動に及ぼす効果について,現地の利用可能なミクロデータを用いて指導学生とともに研究を行っている。この内容については,その検証方法についての着想を適用すべく,現在データの前処理などを行っている。
また,これらの研究課題の取り組みを通じて,既存研究・研究動向の整理を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに実施していた研究の精緻化を行ったが、その検討や確定に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度をこの研究課題の最終年度とする予定であり、現在取り組んでいる研究実施内容のとりまとめと公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在分析を進めている内容の成果公表のための英文校閲や投稿料などに利用予定のため。
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