研究課題/領域番号 |
19K06248
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
一條 洋子 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (10726699)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 農村経済 / アフリカ / フードシステム / ブドウ |
研究実績の概要 |
本研究は、タンザニアの貧困州におけるブドウの生産・加工・流通・消費のフードシステムの実態解明とその振興策について考察するものである。タンザニアでは商業的農業の推進を政策目標のひとつに掲げているが、とくに農産物の加工・流通・消費局面の全体像の把握や、それらの状況が生産地へもたらす影響等についての詳細な研究はなされていない。本研究では、対象地域において重要商品作物であるブドウのフードシステムに注目し、フードシステム論とネットワーク論を援用しながら分析・考察することにより、同地域の農業振興策、農村経済発展に対して学術的知見を提供することを目指している。 2022年度は、コロナ禍で2年にわたり延期を強いられていた現地調査を実施できた。2019年度の予備調査を参考にしつつも最新動向を把握することに努め、官公庁でのブドウに関わるデータ・文献収集に加え、ブドウの流通・小売に関わるトレーダー9名、ブドウの主要産地4カ村における生産農家22名へのインタビューを実施した。結果として、生産・販売動向や、トレーダーと農家の背景、両者の商取引の特徴、価格交渉、農家による品種選択、販売努力、またブドウ市場が抱える課題等に関する情報・データを収集できた。 また、地域農林経済学会、日本農業経済学会の大会にて、フードシステムや途上国における農業振興にかかわる研究の最新動向の把握と理解に努めた。 これらの基礎調査および情報収集をもとに、より大規模な本調査を実施するための素地を整備することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において現地調査にもとづく一次データは必須である。2022年度は現地調査が叶い、最も注目する生産フェーズから、買付・小売りの第一段階について、ブドウ生産農家22軒と、彼等から直接買い付け小売りを行っているトレーダー9名に対して、同一調査期間内に聞き取り調査を行うことができた。これらの基礎データをもとに、今後のより大規模な本調査への準備を順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、現地調査と日本国内でのデータ分析や文献調査によって構成されている。また、2023年度が本研究の最終年度となることを踏まえて、今後は下記のとおり計画する。 画する。 (1)2022年度に入手した基礎調査結果やこれまでの文献調査にもとづき分析を進め、成果を学会にて公表する。 (2)上記にもとづき仮説を構築し、より大規模な本調査を実施する。とくにフードシステム全体のなかでも、現地の特徴を把握できるフォーカス可能なフェーズにおける研究を深める。 (3)成果を論文にまとめて投稿・発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、現地調査にもとづく一次データの収集が要であるところ、コロナ禍の影響を受けて2020~2021年度の2年間にわたり調査が叶わなかった。そのため、実施期間の延長を申請し、2023年度までの延長が承認されたため、次年度使用額が生じた。
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