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2023 年度 実施状況報告書

東南アジア型農産物バリューチェーン解明に向けたゲーム論ベースの研究体系構築の試み

研究課題

研究課題/領域番号 19K06258
研究機関九州大学

研究代表者

森高 正博  九州大学, 農学研究院, 准教授 (20423585)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード農産物バリューチェーン / 契約農業 / 取引費用論 / 契約理論 / AHP / DAG / 東南アジア
研究実績の概要

高付加価値型バリューチェーンを構築する上で基盤となる契約農業について、その一般的評価方法を確立することが本研究の中心課題である。これについて、2023年度は、契約農業の現場における契約理論のフレーミングの問題点について検討した。検討を通して、契約農業の評価枠組みとして、エージェント(受託者である農家)側の一方的なモラルハザードの問題設定ではなく、プリンシパル(委託者である加工企業)側のモラルハザードを含めたダブル・モラルハザードの視点で評価枠組みを構築することの重要性を明らかにした。詳細は以下の通りである。
契約農業の現場において、一般にみられるのは、加工企業側が契約内容を設計し、これを委託先の農家に提示、農家がこれを受諾するか否かを選択するというものである。その際、契約締結後の事後的な農家側のモラルハザードが伴うため、加工企業側はこれを防止するための契約設計を行うことになる。
しかし、ミャンマーのホウレンソウ契約農業を事例として、契約継続状況および契約内容の分析を行った結果、第1に、プリンシパルである調達企業が、契約設計を通して農家側のモラルハザードを適切に管理しているものの、依然として農家の契約継続に問題を抱えていることを明らかにした。第2に、企業および農家へのヒアリング調査によって、農家側のモラルハザードへ対処するための契約設計そのものに起因して、企業側のモラルハザードの状況が発生していることを明らかにした。以上のことは、エージェントのモラルハザードというフレーミングが、プリンシパルによる一方的な契約設計を肯定してしまい、結果としてプリンシパル側のモラルハザードをコントロールする必要性が見落とされたことを意味している。契約農業においてはダブル・モラルハザードの視点が、契約の継続性問題に対する処方箋を提供することの重要性が示唆された。

現在までの達成度
現在までの達成度

4: 遅れている

理由

研究代表者の体調不良により十分な研究時間を取れなかったため。

今後の研究の推進方策

2023年度の研究結果であるダブル・モラルハザードの視点を取り入れつつ、2024年度は取引先評価における多属性効用関数としてのAHPの利用に関してモデル構築を見直す。また、MHCDのアイデアについては、その方法論としての検討を深め、学術誌ヘ投稿を行う。
以上のアプローチを踏まえ、ベトナムにおいて実施ができていなかった契約農業事例の収集・調査を実施する。調査においては、研究代表者の体調不良が続いていることを考慮し、現地の研究協力者と連携の上、リモートでの調査を実施する。

次年度使用額が生じた理由

東南アジアでの実態調査のために使用する予定であった旅費等の支出が発生しなかったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The problem of unilateral contract design in addressing moral hazard: Evidence from spinach contract farming in Myanmar2023

    • 著者名/発表者名
      Honey Lynn Lynn, Masahiro MORITAKA, Seifeddine BEN TAIEB, Susumu FUKUDA
    • 雑誌名

      食農資源経済論集

      巻: 74(2) ページ: 13-24

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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