研究課題/領域番号 |
19K06262
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
大浦 裕二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
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研究分担者 |
山本 淳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (00355471)
朴 壽永 東京農業大学, その他部局等, 講師 (10573165)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 視線計測 / 直売所 |
研究実績の概要 |
本年度は、2020年12月に福島県内のふくしま未来農業協同組合の管轄内の直売所にて、視線計測と質問紙を組み合わせた調査を実施した。調査では、20名の対象者(消費者)に対して、視線計測装置を装着したパソコンのスクリーン上に直売所の商品を提示して選択してもらった後に、その理由を発話してもらった。対象品目は、12月に当該地区で品揃えが多い「りんご」「ほうれん草」とした。結果の概要は以下の通りである。合計の平均注視時間についてほうれん草では12.26秒、りんごでは13.55秒であった。その内訳は、「見た目」がほうれん草で4.87秒、りんごでは6.87秒で最も長く、「商品名」「価格」「生産地」「生産者名」はどれも1秒~2秒程度であった。情報過負荷の程度に関する質問に対して、「食料品を選択する時、食料品が似ていると感じる」が4.50点、「食料品を選択する時、食料品数が多いと感じる」が4.82点、「③食料品を選択する時、食料品の違いがわかりにくいと感じる」が4.29点であり、「どちらともいえない(4点)」~「ややそう思う(5点)」の評価となった。また、「間違って予定していた食料品を購入したことがある」が3.67点、「食料品の買い物で「疲れる」と感じる」が2.96点であったことから、買い物を疲れるように感じることや、食料品の種類が多いことに伴う誤った購買はあまり起きていないことがうかがえる。 これらの結果から、直売所利用者においては情報過負荷の発生に伴う誤った購買といった不都合は生じていないものの、一部の消費者においては食料品数が多く、類似し、また違いがわかりにくいと感じている状況が確認されたことから、直売所では旬の時期が重なることによって、商品数が多く、類似し、また違いがわかりにくいという情報過負荷が発生しやすい状況に陥ることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、直売所にて実際に販売されている商品を対象とし、その商品に対する視線軌跡計測調査を実施することにより一定の知見が得られたものの、新型コロナの影響により非接触型の視線計測装置の調査にとどまり、さらに脳活動計測を実施することができなかったため、進捗状況を「(3)やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度遅れている脳活動計測を優先的に実施する。実験は1カ 所の農産物直売所で、高齢者計30名、非高齢者計30名を対象に行う。なお、本研究は、新型コロナウイルスの影響を考慮する必要があり、脳活動計測と視線計測 については被験者との接触が大きいため、国および自治体の方針を確認しながら細心の注意を払い実験を進める。実験が難しい場合には、個別面接調査 をリモートにより実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は脳活動計測による実験が実施できなかったために、予算を繰越し、脳活動計測の実験費用に充填する。
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