研究課題/領域番号 |
19K06262
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
大浦 裕二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
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研究分担者 |
山本 淳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (00355471)
朴 壽永 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (10573165)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 食行動 / 情報過負荷 |
研究実績の概要 |
本年度は、高齢者の食行動における情報過負荷の実態を把握するため、食行動全体を店舗選択、商品 選択、食品摂取の 3 段階に分割し、高齢者へのヒアリング調査を実施した。高齢者へのヒアリング調査は、2021 年 11 月 24 日~26 日の 4 日間に、福島県福島市内の JA 直売所にて女性12名(前期高齢者は 7 名、後 期高齢者は 5 名)を対象に実施した。 主な結果は次の通りである。高齢者の食行動のうち、店舗選択時には、自動車を運転することができる高齢者は買い物に特段困っていないものの、将来的には身体機能低下などの理由から自動車免許を返納 し、食料品店舗までの交通手段を失うことによって店舗への接近が難しくなるという課題が存在することが考えられた。続いて、商品選択時には、店舗内の商品数が高齢者に負担感を与えることが一部確認さ れた。回答者は直売所の商品に関して、来店時間によっては欲しい商品が入手できないなどの課題を感じている一方で、入手するために開店前に並ぶことを負担に感じており、混雑した時間を避けることが明らかになった。また、商品選択時に負担を感じていない高齢者のなかには、普段使うものと同じもの、または、よく知ったものを購入することから、 商品選択を簡略化し、不便や苦労を感じていないという回答者もみられた。そして、食品摂取時には、概ね大きな課題はみられなかったが、高齢者世帯の生活環境 の変化などが食事準備の手間や献立の種類不足に影響し、現状の問題が今後大きくなる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、生体情報計測と個別面接調査から農産物を対象とした高齢者の情報過負荷の発生状況を把握することであったが、計画を一部変更し、食行動全体を店舗選択、商品選択、食品摂取の 3段階に分割し、それぞれの状況についての個別面接調査を行った。その結果、高齢者の食品購入時に情報過負荷が発生している可能性が示唆された。ただし、脳活動計測による実験にも着手できていないことから、実施期間を1年延長し、進捗状況を「(3)やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度遅れている脳活動計測を実施する。高齢者の農産物購買時にどのような場面でどのような情報過負荷が発生するかを、非高齢者との比較を通して検証する。実験は東京農業大学の研究室にて、高齢者計10名、非高齢者計10名を対象に行う。なお、本研究は、新型コロナウイルスの影響を考慮する必要があり、脳活動計測については被験者との接触が大きいため、国および自治体の方針を確認しながら細心の注意を払い実験を進める。なお、脳活動計測の実験が難しい場合には、視線計測時の瞳孔径を計測することにより感情状態を把握することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は脳活動計測による実験が実施できなかったために、予算を繰越し、脳活動計測の実験費用に充填する。
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