2023最終年度は、2022年度(2023年2-3月)に実施したインド国オディシャ州内2村における農家世帯訪問調査の集計・分析を進めた。両村ともベンガル湾沿岸に位置し、サイクロンの他、干ばつ・洪水の被害を受けやすい脆弱な自然条件下、少数民族が生計を立てている。 年々の異常気象ひいては気候変動対応として、両村とも各農家が経営する複数区画の水田に複数品種のイネが作付け・栽培されている。在来種・近代種を合わせて様々な形質(多収、耐旱、耐水、耐病虫害、浮稲、短茎など)のイネが作付けされ、水田の景観は市松模様状となる。 2村の調査対象98農家においてのべ35品種以上のイネが作付け・ローテーションされていることが分かった。どのような農家が、どのような条件下、どのような品種選定・作付け・農法をしているかを集計・分析している。カウンターパートのオディシャ州農工大を介してフォローアップ調査(電話・SNSによる確認作業)を進めており、学会発表・論文投稿等は2024年度中を予定する。派生・関連課題として循環経済社会・環境保全型農業の研究に着手した。 2019開始R01年度10-11月に共同研究カウンターパート(オリッサ州農工大学、マディア・プラデーシュ州農業大学、オディシャ州NGO等)と顔合わせ・パイロット調査を実施したまま、2020・2021年度はコロナ禍により予定の研究活動がストップした。期間延長頂き2022年度末(2023年2-3月)に本調査を実施した。2023(最終)年度一杯調査結果の整理・集計・確認作業に費やされたものの、2024年度中の学会発表・論文投稿を予定する。 研究期間全体を通じて、大学研究者の他、農業政策担当者、地域研究所(Extension Office)、種苗業者、そして条件不利地域の農村・農家と議論・意見交換する貴重な機会を得た。
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