農業労働の季節性は農業の「宿命」であり、農繁期には保有する家族労働力を超える一時的な労働力需要が形成される。これは家族経営だけでなく、産地施設(選果場等)も同様である。本研究の着眼点は、これらの一時的な労働力需要をカバーしてきた従来の給源が枯渇しつつあり、それに代わる新たな給源や労働力調達の仕組みを解明しようとすることにあった。研究の構想当初には複数の給源を想定していたが、2019年から現在までの経過のなかで、外国人材の雇用に収斂してきた感がある。本研究の事例分析においては、技能実習生を農協(単協)で直接雇用し、農繁期の圃場作業と農閑期の産地施設での就業を組み合わせて、耕種農業でも通年就業の実現を目指す農作業請負方式の実践に着目した。継続的に観察したのは、オホーツク管内の3農協である。それと共に、新たな在留資格である特定技能が2019年に創設されて以降、産地施設で多人数の特定技能外国人を導入する事例が現れ、請負方式の圃場作業も部分的に組み込んでいることから、そうした野菜産地の事例も併せてマークすることにした。明らかになったのは、以下の3点である。第1に、在留資格の複線化を通じて、外国人材雇用への依存度は高まっている。第2に、ウィズコロナ期で技能実習生の入国・出国が困難になった事情も手伝って、特定技能への依存度が同時に高まっていることである。第3に、北海道に導入されている特定技能外国人の通年就業は、国内の他地域(特に西日本)との産地間連携を通じて実現されていることである。この産地間連携には様々なヴァリエーションがあり、北海道においては各単協が主導的な役割を果たしている。「コロナ明け」期を迎えた今、北海道と西日本の産地間連携にもとづく外国人材雇用の本格化を展望することが、本研究を通じて示唆される労働力確保対策のひとつの方向性である。
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