研究課題/領域番号 |
19K06270
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
泉谷 眞実 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (60265064)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 未利用バイオマス / 稲わら / 静脈流通 / わら工品 |
研究実績の概要 |
(1)これまでの研究では、大型ロールでの収集と広域的な流通による家畜飼料利用については対象としてきたが、今以上の収集量の拡大を図るためには、現在の収集事業者では収集量に限界がみられると考えられる。そのため、稲わらの収集事業者を拡大するための方策を検討する必要があるが、その場合に小型のミニロール機械の導入が事業への参入の際に比較的容易であると考えられ、青森県では実際に自治体が事業として導入を図る事例が見られる。そこで、ミニロールでの収集機械の利用実態を検討するため、青森県の五所川原市が始めた事業と、平川市での収集事業者3団体の調査を行った。 (2)これまで調査が手薄であった稲わらのマテリアル利用の実態を解明するため、秋田県のわら縄製造業者の聞き取り調査、および福井県の土木用の植生マットの製造事業者の聞き取り調査を行い、稲わら需要の実情について把握した。また、農業での果樹用の被覆資材での利用状況を調査するために、青森県の果樹農家の調査を行った。 (3)日本と比較した場合に先進的な対応がとられていると考えられる韓国における飼料用稲わらの収集事業についての現地での調査について、調査項目の設計や取りまとめについて行った。 (4)稲わらと並んで稲作の未利用バイオマスとして重要な籾殻の発生状況や利用状況を把握するために、青森県内日本海側を主体として新潟県の農協のライスセンターおよびカントリーエレベーターの聞き取り調査を行った。また、籾殻の利活用をするための前処理の新しい取り組みについて秋田県の事業者の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き新型コロナウイルスの影響によって、1年間を通して事業所調査や農家調査が難しかったのに加え、職場での管理業務が増加したため調査時間の確保が可能な学生の夏季休業期間および冬季休業期間に調査を行う計画だったが、学生の夏季休業期間に新型コロナウイルスの第5波が、冬季休業期間に第6波がきたことも影響している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)昨年度に実施した稲わらミニロールの収集および販売事業の調査を継続して行い、調査事例を増やしながら、稲わらミニロールの収集を行う上での課題や販売先の特徴を把握し、収集・販売促進のための条件を検討することで、収集事業者のすそ野を拡大するための方策を検討する。 (2)稲わら利用の産業化のためには、付加価値の高い稲わらのマテリアル利用が重要である。昨年度に実施したわら縄や植生マット事業に関する調査を継続して行い、わら縄産業および植生マット事業の課題を検討する。また、プラスチックの利用制限が強化される中で、稲わらのマテリアル利用の役割についての検討を行う。 (3)稲作における未利用バイオマスとして籾殻を取り上げ、籾殻の用途別の利用動向について需要サイドの調査を行い、稲わらとの違いや稲わら事業との連携の可能性について検討を行う。 事業者や農家の調査については、8,9月や2,3月を避けて計画を立てていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響によって事業所調査や研究成果の発表で計画した旅費の支出が行えなかった.また,研究成果を発表する場としての学会の開催がオンラインに全体として移行しており、研究成果の発表に必要な支出が行えなかった.これからは昨年度に実施できなかった現地調査のための調査旅費や、その結果を取りまとめるための消耗品、謝金として使用する予定である。
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