研究課題/領域番号 |
19K06273
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
徳田 博美 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20346000)
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研究分担者 |
野中 章久 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (60355253)
常 清秀 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (70335149)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 電子商取引 / 中国 / 農水産物 / ECサイト |
研究実績の概要 |
今年度は、日本と中国で消費者を対象として農水産物のECサイトからの購入に関するアンケート調査をインターネットを通じて実施した。調査項目は、日中間の比較ができるように、可能な限り共通な設問を設定した。日本でのアンケート調査からは、農水産物をECサイトから購入する消費者は、楽天などの大手ECサイトやネットスーパーから多頻度で日常の食料を購入する者と生産者自社サイトや農水産物専門サイトから特定の生産者の生産物などこだわりの農水産物を購入する者の2つのタイプに分かれることが示唆された。一方、中国のアンケートからは、日本と比べてECサイトからの農水産物の購入頻度は多く、日常的な食料調達が主体となっていることが示されたが、有機農産物などこだわりの農水産物の購入を目的とする消費者が一定程度存在していることも示された。 また今年度は、日本で電子商取引で農産物を販売している生産者の事例調査を実施した。電子商取引を行っている生産者は、大規模な企業的農業者が販路の多角化の一環として自社サイトおよび農水産物専用サイトなどでネット販売を行っているとともに、小規模な生産者が直売所的な感覚でECサイトを利用していることが明らかになった。 研究期間全体を通じては、新型コロナの影響によって中国での実地調査が初年度のみとなってしまい、中国での生産者による電子商取引の実態が限られた事例のみからの分析にならざるを得なかったが、ネットを通じた生産者などへのインタビュー、消費者へのアンケート調査、情報検索による調査を実施した。中国における農水産物の電子商取引は、小売流通全般での電子商取引の拡大に合わせて拡大しており、生産者にとっては比較的容易に取り組める新たな生産物の販路として拡大している。電子商取引の拡大は、共同販売の発展や地理的表示の拡大など、農水産物流通全般の新たな変革の契機となっている。
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