研究課題/領域番号 |
19K06275
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
種市 豊 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40640826)
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研究分担者 |
宮井 浩志 山口大学, 経済学部, 准教授 (10620908)
野見山 敏雄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20242240)
小林 富雄 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (60592805)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小ロット / 物流 / 貨客混載 / 異業種共配 / 農山村輸送 / 直売所連携 |
研究実績の概要 |
第一領域:農山村の輸送における異業種間の共同化はどのような条件の下で成立するのか。調査結果を確認すると、「共同化初期」の段階である。しかしながら、地域の特産品や軽量かつ少量の品目に関しては、大ロットの輸送が困難であること、従来利用していた宅配便などの小口輸送ではコスト高になる。この点から、共同輸送可能な条件までは、確認できている。今後は、継続性の確認として、①社会的資本としての共同化、②産地におけるバリューチェーンなどの高付加価値化の実現、③地域活性化への貢献と地域資源としての意義づけ、④共同化が必要となる背景を抽出する必要があると考える。 第二領域:地産地消・小ロット農産物の輸送体制の構築は、地域社会にどのような経済的効果を及ぼすのか?受益者である地域住民への波及効果の測定①タイトルにある小ロット農産品は、多頻度であればあるほど、共同化輸送の価値が出やすい。しかしながら、路線バスで農産物輸送する場合は、小回りの悪さから、受益者である量販店や飲食業の協力が不可欠であり、その点がボトルネックとなっている。しかしながら、この点をクリアし、継続的に行っている企業もある。このことから、継続性の理論化が今後求められる。
新たな課題として、近年のコロナ関係で小ロット多頻度流通の人手不足問題がある反面、タクシー業界のリストラ問題と運輸輸送業は、単独での継続が困難であることから、コラボレーションが存在しないとならない。この辺の課題を2020年度以降に残したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、①直売所連携調査は、調査先の協力が得られたため、順調に行えた。②フードデザート問題は、分担者の努力により調査先企業の開拓が完了した。そのため、2020年以降順次調査に入ることが可能である。③貨客混載問題は、これからといった感がある。現状確認できた点を述べると、①バス会社の貨客混載は初期段階である。そのため、より深い調査が今後求められる。②出荷者問題も無視できない課題となっている。現状、出荷者の傾向は、確認できた。その傾向が果たして正しいのか、別な傾向があるのか、一時的なものであるのかを改めて確認する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、①直売所間輸送問題に関しては、分担者より有力事例の紹介が得られたので、調査可能な時期になり次第、聞き取り調査と地域事情を調査したい。現時点において、県外での調査が厳しく制限されることから、山口県内の直売所に焦点をあてた調査を継続したい。②フードデザート問題は、四国・中国地区の比較検討を行いたい。山口県でもさまざまな問題が発生しており、地方量販店と生協とが別々な対策を行っている。理論化に向けるならば、両者の比較研究が重要になると考えられる。③小ロット貨客混載研究は、現状新しい研究であるが、有力な事例も出つつある。この点を鑑みると、数か所ある有力事例をアプリオリに比較し、理論化する必要もある。 本研究分野は、「継続性」という点で困難さを有している。しかしながら、昨今の輸送不足・少子高齢化の事情をみてみると、「古くて新しい課題」いわゆるビジネスモデルは古いものの社会変化においては重要な研究内容である。特に、継続性と参入障壁の問題点を深く追求する必要があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に調査や学会報告を計画していたが、一連のコロナ騒動により、殆どが中止または延期となった。まだ、現時点でも学会報告の中止、県外調査が困難であるなど多数の問題が発生している。今年度は、スタートでき次第島根県や徳島県に調査を実施する予定である。同時に宮崎県の調査も行う。今回のコロナ騒動で、本論文のターゲットが一気に広がり、改めて対象を再構築する必要も出てきた。改めて見直せば、社会にインパクトの与える研究になると思われる。
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