本研究は入会林野に由来する多数記名共有林を研究対象とした。多数記名共有林は数十名から百名以上などの多数人による共有名義で登記された森林であり、所有者不明土地の中でも問題が複雑化した土地といえる。多数記名共有林の現状を把握し、その特徴と森林管理上の課題、政策的課題を提示することを目的とした。 結果として、(1)多数記名共有林における登記名義の更新は合意形成の担い手や費用の捻出の困難さから極めて難しい状況にあること、(2)都市近郊の入会集団における権利者の認識の多様化と希薄化の進行、(3)所有者不明土地問題に対する立法・政策措置が取られてきているものの抜本的解決には繋がりづらいこと、を明らかにした。
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