研究課題/領域番号 |
19K06285
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
丸居 篤 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80412451)
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研究分担者 |
泉 完 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (60132007)
大嶺 聖 長崎大学, 工学研究科, 教授 (60248474)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 負圧差灌漑 / 地中灌漑 / 節水 / 乾燥地 |
研究実績の概要 |
開発途上国の乾燥地において灌漑農業を実現するために、現地で調達可能な資材を用いて節水型、かつ低コストで灌漑効果の高い地中灌漑方法を開発する。社会実装を念頭に、持続可能な農業のために、低コストで、資材の入手が容易で、現地住民が扱い易い方法を提案する。 ヒモの毛管現象を利用したヒモ灌漑システムは、ポンプを使わず地中のパイプ内の水位調節により、ヒモと土壌の負圧を利用した負圧差灌漑方式である。この灌漑システムによる灌漑量を左右するヒモの保水性および水位差について調査している。2019年度は、直径3mmと6mmのナイロン、綿、クレモナ(ビニロン60%、ポリエステル40%)、麻、紙製のヒモを対象に、吸水試験や加圧板法によってヒモの種類別の水分特性曲線を作成し、ヒモの保水性を評価した。また、ヒモ地中灌漑システムを構築し、ヒモの種類および形状、水位差と灌水量の関係について明らかにした。さらに、実験ポット内の土壌水分をミニテンショメータにより精密に土壌水分張力を測定し、ヒモ地中灌漑システムによる土壌水分張力の時間変化を明らかにした。結果として、ナイロンや綿が吸水性および保水性にすぐれ、ヒモ1本あたり50~100g/day程度の給水量があることを明らかにした。 社会実装のために、モンゴル南西部の乾燥地において、地域行政の協力のもと実験圃場を確保した。実験圃場の水管理等を行う現地住民と協力の合意を得て、苗の作成、開墾作業を行い、ヒモ地中灌漑システムを導入して、先行的に実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料選定、水分特性曲線の作成、灌水量の測定が順調に進み、数値解析の着手、モンゴルにおける実証実験の準備等2年目の準備もできている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒモ地中灌漑システムによる植物の栽培実験を行い、水消費量と供給量の最適な構成を検討する。 実験で得られたデータを元に、土壌水分解析ソフトウェアHYDRUS-3Dを用いて土壌水分の移動解析を行う。実験結果の理論的裏づけを行なうと共にシナリオ分析に沿って適したヒモ灌漑の組合せを提案する。 モンゴルにおいてヒモ地中灌漑システム導入の効果検証を行う。
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