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2020 年度 実施状況報告書

物理センサ群を用いた土壌・樹木・大気連続系における物質移動・貯留特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K06292
研究機関鳥取大学

研究代表者

齊藤 忠臣  鳥取大学, 農学部, 准教授 (70515824)

研究分担者 依田 清胤  石巻専修大学, 理工学部, 教授 (30254832)
猪迫 耕二  鳥取大学, 農学部, 教授 (60243383)
竹村 圭弘  鳥取大学, 農学部, 講師 (70731545)
藤巻 晴行  鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (90323253)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード樹体水分 / 樹液流速 / 水ポテンシャル / 電気伝導度 / SPAC
研究実績の概要

土壌・植物・大気連続系(Soil-Plant-Atmosphere Continuum:SPAC)における物質移動の機構解明およびモデリングは重要な課題であるが,特に植物体を通じた物質移動については数多くの未解明点が存在する.また,異なる環境下における樹木の水利用特性や物質移動機構の解明は,森林水文,生態系保全,気候変動応答の解明,センサ類を用いた精密農業(効率的な灌漑,高品質果樹の生産)等の農学の多分野における発展性・実用性・普及効果を有している.
本研究は近年新規開発されたセンサ群を駆使し,これまでは観測不可能であった樹体内外における物質移動の「駆動力」「流れ」「貯留」の網羅的な非破壊・連続観測を目指す取り組みである.自生種および果樹を対象として自然条件下や各種ストレス条件下で観測を行い,SPACにおける物質移動・貯留における新たな機構の解明やそのモデル化,また得られた知見の多分野での応用について検討する.
本研究は2019・20・21年度の3ヶ年で実施予定であり,本年度はその2年度目にあたる.観測対象として,①シラカシ(大型ポット内・照葉樹林の代表種の一つとして),②ニホンナシ(鳥取大学附属FSC大塚農場内の3品種)の2種の樹木に樹液流速,樹体水分・電気伝導度,水ポテンシャル等を観測するための機器を設置し,各パラメータの連続観測を行った.特に①については,新たに幹の直径の微細な変動を観測可能な高精度デンドロメータを新たに設置して観測を行った.
結果より,①については,ポット内での潅水制御下での観測により,乾燥・湿潤に対する樹体の水利用特性の定量的分析がされ,また,デンドロメータにより計測される幹直径が短期的に樹体水分と連動し,新たな水分状態指標として利用できる可能性が示された.また,②については,1年を通じたニホンナシの水利用特性が把握された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究2年度目として,観測樹木の準備や観測機器の設置が順調に実施され,また,その後の観測も順調に進んでいる.さらに,シラカシ,ニホンナシの両樹種の観測結果から,樹木の水利用特性に関する定量的・定性的な新たな知見が多く得られ,2年度として十分な研究成果が得られた.
一方で,これは昨年度に発生した問題であるが,葉・幹・根におけるポテンシャル測定に使用を予定していた8chポテンシャルセンサを作成していた唯一の製作所が倒産した影響で,基本的に使用が出来ない状況となっている.幹については,他センサーで代用し,根における観測は他センサーによる土壌での観測で代替している.また,樹液流速計についても故障が頻繁に発生しており,データの欠損と修理費への予算配分増が問題となっている.

今後の研究の推進方策

シラカシ,ニホンナシの両樹種共に,センサの新設・メンテナンスを行いつつ観測を継続する.シラカシについては,本年度には潅水の量とタイミングを制御したが,乾燥過程ではストレスが十分にかからず,湿潤過程においてはストレスから十分に回復しないイベントがあったため,本年度得られたデータを元に,次年度も潅水の量とタイミングを制御しつつ,余力があれば塩水潅水とリーチングを行い,自然条件,乾燥・加湿・塩ストレスに対する樹木の応答を観測する.また,新たに設置されたデンドロメータにより計測される幹直径が短期的に樹体水分と連動し,新たな水分状態指標として利用できる可能性が示されており,これが長期的な樹木成長を考慮した際にも適用可能かを検討する.
ニホンナシについては,本年度はシート被覆による降雨遮断や散水による加湿によって土壌水分の制御を行ったが,特に降雨遮断による乾燥ストレスの付与が不十分であったため,手法を改良しつつ,環境・潅水条件のみならず,開花・結実および剪定・摘果作業等に対する各指標の応答を明らかにし,部位間や品種間での比較を行う.
さらに,樹液流速計のセンサおよびロガーの頻繁な故障については,製造元と連絡を取り合いながら,故障を防ぐ観測手法の確立を検討する.

次年度使用額が生じた理由

設置した観測機器のうち,特に樹液流速計については故障が頻発し,年度が切り替わるタイミングで修理が必要となる可能性があったため,観測が停止せぬためにも予算を確保する必要があった.
残額については,引き続き機材の修理費に使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] センサ群を用いた樹木の蒸散と樹体水分消費の定量的分析2020

    • 著者名/発表者名
      齊藤忠臣・前田美佳・猪迫耕二・依田清胤・藤巻晴行
    • 学会等名
      日本沙漠学会第31回学術大会

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公開日: 2021-12-27  

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