濁り計測装置を自作して実験装置を改良し、赤土フロック形成実験を行った。攪拌翼を時計回りに回転させて赤土懸濁液を1時間攪拌し、攪拌停止直後から1時間後までの濁りを連続計測した。時計回りと反時計回りを1回転ごとに切替える場合も同様に試した。攪拌翼の回転速度は毎分20回転と毎分60回転である。攪拌しない場合を全体の対照操作とした。攪拌流れをPIVを用いて計測し、流れの模様などを水理学的に把握することを試みた。なお、PIV機材の故障をパンデミックの影響で修理することができず、貸出機の短期利用となったため十分なデータ取得には至らなかった。 対照区と攪拌区のいずれの場合でも濁りは時間経過とともに減少した。濁りの減少傾向にはケースごとの特徴が認められた。 時計回転の毎分20回転と毎分60回転、時計・反時計切替え回転の毎分20回転の濁りは攪拌しない対照区より小さかった。これら3つの攪拌区では対照区よりも水が透き通ったことになる。攪拌により流れに多様な渦が生成され、赤土微粒子の衝突頻度が高まり、赤土フロックの形成が進み、赤土の浮遊物同士の間隔が広くなったり、浮遊物が速やかに沈降し易くなったために水が透き通ったと考えられる。これら3つの攪拌区では濁りが小さくなるとG値や見掛けのレイノルズ数が大きくなり、濁りはG値や見掛けのレイノルズ数と相関関係にあることが分かった。 残り1つの攪拌区である時計・反時計切替え回転の毎分60回転の濁りは攪拌しない対照区より大きかった。この攪拌区のG値や見掛けのレイノルズ数は他の攪拌区よりかなり大きく、流れの乱れが激し過ぎたために原料の赤土が砕けてより小さな赤土微粒子が生成され、濁りが大きくなったと考えられる。攪拌の最適さが明らかとなり、今後の課題として研究する必要がある。 PIVの結果、回転する攪拌翼の周りに渦が認められ、その流れが赤土フロックを形成させたと考えられた。
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