研究課題/領域番号 |
19K06297
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
綱島 洋之 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (10571185)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農的福祉力 / 美的経験 / 食農教育 / 園芸福祉・療法 / 社会福祉本質論争 |
研究実績の概要 |
交付申請書「研究実施計画」の[1]~[5]のうち本年度は[4]および[5]に重点を置いた。 [4]現場実装::「観察」「意思決定」「作業」を要素とした自律的な農作業のモデルにおいて,「観察」を苦手とする労働者が多い理由は,人工知能研究で言われる「フレーム問題」として提起されていた。この問題を解くには,「この野菜をあの人に食べてもらいたい」という目的意識が、作物を育てることを自己目的化するような意識に転換されることが有効であると考えられた。 的経験が得られる機会をデザインすることが有効である。 [5]国際発信:現在の「農福連携」がいかなる意味において「農」と「福」の「連携」であるのかを説明しようとすると、「社会福祉とは何か」という難問に突き当たることになる。社会福祉学分野では過去に「社会福祉本質論争」が展開されていたが、近年、多くの研究が技術論に傾倒する一方で原論が軽視される傾向にあるという。この論争を継承する必要があることに気付かされた。つまり、現状においてある問題への対処を社会福祉制度が担わされているとき、「農」はその問題をどのように解決するのか。これを特定して初めて説明が可能になる。例えば、資本主義社会におけるオルタナティブな生産関係として提示するに値する。以上のような議論は、西側諸国で実践されているcare/social farmingにも適用可能である。多くの研究が、期待されている効果が実際に得られているか否かという観点から行われており、なぜそのような効果を期待するのか、いかなる社会問題の解決を図ろうとしているのかという観点からの議論がほとんど行われていない。ここに日本のアドバンテージがある。「農福連携」という言葉が作られた結果、「農」「福」「連携」とは何かを、世界に先駆けて問う機会を得られた。現在、複数の形式で国際的に問題提起を行う準備を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で現地調査は予定通りには進んでいないが、当初とは違う形で海外発信の準備が進められている。 本研究課題を進めていくうえで最大の問題は、「共同利用・共同研究拠点」に認定されていない研究機関であればアカハラと認定されてもおかしくない程度の膨大な事務作業を、代表者が追わされていることである。これを軽減するために、試験的にバイアウト制度を活用した。
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今後の研究の推進方策 |
バイアウト制度を活用して、それがなければ学内事務作業に費やされていたであろう時間を本研究課題の遂行のために確保する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍等のため海外渡航や現地調査を自粛していたため。 期間を1年間延長して,海外渡航に加えて,オープンアクセス媒体やオンラインによる研究成果の国際発信を行う。
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