研究課題/領域番号 |
19K06298
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
木全 卓 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60254439)
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研究分担者 |
小林 範之 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00314972)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 変形性粒子 / 混合土 / 圧縮成分 / モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究では、使用済みの発泡スチロールや廃タイヤなどを地盤材料として有効にリサイクルすることを念頭に、土粒子と違って変形性を有する粒子を含む土塊が圧縮される際の力学的なメカニズムを粒子レベルのミクロな観点から解明し、圧縮量を成分に分けてモデル化することで、リサイクル地盤材料の有効利用に貢献することを目的としている。その際、圧縮成分としては、(1)「粒子自身の圧縮量」、(2)「粒子の変形による間隙部分の圧縮量」、(3)「変形した粒子が側方の間隙に入り込むことで生じる圧縮量」の3つに分類している。 2年目の本年度も前年度に引き続いてゴム棒とアルミ棒を混合した積層体の一次元圧縮試験を行い、断面の圧縮状況(円柱なので断面は円になる)を画像解析することにより混合体としての圧縮量を成分に分けて計測・評価することを試みた。具体的には、前年度の課題であった試験精度の向上のため、積層体模型の幅が微調整できるようにするなど装置を改良して一次元圧縮試験を実施した。そして、圧縮に関わる(3)の成分を算出する際に重要になる(1)と(2)の成分について、初期間隙率との関係を調べた。その結果、(1)の成分は初期間隙率によらず混合比に比例して生じること、(2)の成分は初期間隙率に比例してその発現割合が増加すること、などが明らかになった。これらの結果は混合体の圧縮挙動を特徴づける重要な特性であり、各圧縮成分をモデル化する際に考慮すべきポイントになると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究実施計画では、2020年度は積層体模型を用いた実験による二次元状態での検討を一段落させ、チップ状試料を用いた圧縮試験を行って三次元状態での圧縮特性の検討へと進む予定であった。しかし、2019年度の研究において圧縮成分(3)のモデル化が課題となっており、そのためには圧縮成分(1),(2)をより精度良く評価するとともに、積層体模型の初期間隙比の違いがこれらの成分に及ぼす影響を明らかにしておく必要があった。この理由により、2020年度も引き続き積層体の模型実験を行ってこれらについての検討を深めたことから、三次元状態に関する検討へと研究を進めることができなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究目的に変更はなく、研究実施計画に沿って今後も研究を推進していくつもりである。2020年度の研究において若干の遅れが生じているが、最終的な研究目的の達成に向けて必要な検討をしていたためであり、研究の進め方が変わるものではない。よって今後も当初の研究実施計画のステップを踏襲し、着実に研究を進めていく。 具体的には、2021年度に上記の圧縮成分(3)に関する挙動の特徴を把握するとともに、これを算出するためのモデルを検討する。そのため、まずはゴム棒とアルミ棒を用いた積層体模型の圧縮試験を行うが、これにより圧縮成分(3)に関する特性が把握できれば、ゴムチップとアルミチップを用いた模型実験による三次元状態への検討へと発展させる。そして、最終年度である2022年度には、ここまでの3年間で実施した研究の取りまとめを意識しながら研究を進める。本研究の目的は、ゴムのような変形性粒子を含む混合土についてその圧縮モデルを構築することであり、これが最終的な目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は約25万円の次年度使用額が生じたが、これは、当初から参加を予定していた国際会議(国際ジオシンセティックス学会アジア会議,台湾)が新型コロナウイルスの影響で延期になったことによるものである。したがって、この経費(外国旅費)については、延期後の開催日程である2022年の4月までそのまま繰り越すこととする。
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