本年度は、近畿大学農学部(奈良県奈良市)の敷地内において葛が発生してフェンスに覆い被さる場所を選定し、そのフェンスに静電雑草防除ネットを設置した。また、近畿大学湯浅農場(和歌山県湯浅町)の敷地を取り囲むフェンスのクズが覆い被さる場所にも静電ネットを設置し、実用化に向けて防除効果を検討した。パルス式高圧電源は、1回 / 秒の電圧を印加する市販されているアポロ社製の電源を適用した。電源は太陽光電池を利用するため、その充電能力と出力に及ぼす影響も同時に調査した。市販されている電気柵電源の消費電力は小さく、太陽電池からの出力で長時間の抑制効果を確認でき、電源としての問題は無かった。また、電極材料として利用したトワロン株式会社の素材は有効であり、その耐久性と安全性も通年を通して確認できた。 1年の試験期間で発見できた問題点として、蔓性以外の雑草の繁殖があげられる。本申請の雑草防除ネットはフェンスに立てかける様にセットするため、フェンスに這いあがり、巻き付く雑草には効果的であり、葛以外のつる性雑草に対しても効果的であった。しかしながら、フェンスに巻き付かない、這いあがらない雑草に対しては効果が示せず、フェンスを保護することに対する目的は達成できたが、フェンスの土台部分には多くの雑草が繁殖し、背が高く伸長した雑草の中にはフェンスにもたれ掛かる場合も見受けられた。今後はこれらの雑草に対する対応も考えて研究を進めたい。令和3年度の研究内容については、学術論文として国際ジャーナルに投稿を予定している。
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