農業水利用と自然水循環を一体的に表現する分布型水循環モデルを利根川水系に適用し,渇水期間および累積渇水量により気候変動の影響を評価した.モデル精度の向上に向け,新たに開発した手法によりパラメータ同定を行い,流出推定精度が向上するとともに,同定されたパラメータの頑健性を確認した.次に,現在から将来の5期間ごと積雪水当量および灌漑期の渇水指標の評価を行った.積雪水当量は150年間で一貫して減少傾向にあり,規模の小さい渇水が減少し,大規模・長期間にわたる渇水が増加する傾向が示された.また,特徴的な渇水パターンを抽出すると,これまで夏季に生じていた渇水時期が早期化することが示された.
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