研究課題/領域番号 |
19K06309
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
柏嵜 勝 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (00282385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本産果物 / 輸出試験 / 海外味覚審査 / 品質情報 / 味覚評価推定 |
研究実績の概要 |
2020年度および2021年度に実施予定であった、海外味覚審査機関への日本産果物の輸出試験も兼ねた出品が、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延によるEU域の入国および行動制限、日本からの移動制限などのため実施できない状況に陥っている。本研究では海外味覚審査機関の審査結果が第三者による品質評価データとして重要なものであるため、これらのデータが得られない状況では本研究に及ぼす影響が非常に大きいと判断し、2022年度への延長を申請し認められた。 2022年3月時点で、本研究で実施できた2019年度のデータを使って解析作業を進めているが、必要なデータ量が少なく、また単年度の試験結果のみなので、データの信頼性が限定的である。このため、これまで他の研究費等で行った同種の輸送試験のデータの中で、本研究の目的達成に使えそうなデータの選定作業を進めている。 過去の輸出試験のデータから、輸出前後に於いて果実(イチゴを供試)の糖度変化は小さいが、呈味成分、例えば甘味ではSucrose量が有意に低下し、FructoseおよびGlucose量が僅かに上昇している(有意差なし)。試験前後で実施した官能試験では甘味の低下、品質の低下が示唆された。つまり、糖度のみでは感覚としての甘味を表現できない可能性がうかがえた。さらに、酸味としての有機酸含量および含有割合(Citric AcidとMalic Acidの比)も変化し、特にMalic Acidの減少がみられた。有機酸成分は糖成分の10%に満たない内容成分であるが、人間の官能としては糖の10倍と言われているため、Sucroseの減少とMalic Acidの減少は少なからず人間の官能として知覚されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年に続き、2021年度も新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延によって物流が遅滞し、日本産果物の海外味覚審査機関への出品ができず、味覚審査データの入手ができていない状況にある。味覚審査機関への出品は輸出試験を兼ねて実施する予定であったが、代替措置として輸送に航空機が介在する国内輸送試験(沖縄往復)を実施したが、輸送業界の混乱、航空便の減便等輸送状況が悪化しており、代替試験として利用できるデータ品質が確保できているか疑問である。徐々に状況は好転しているため、2022年度への延長申請を行い、可能な限り当初の目的達成に努力する。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症に対する日本およびEU域の入国制限等が緩和される方向であるため、2022年の海外味覚審査機関への出品と輸出試験を計画している。味覚審査は12月と2023年3月に予定されているため、12月の出品と輸出試験の実施を目指す。しかし、審査結果の公表は2023年5月以降であるため、本研究の成果に加えることが難しい状況である。 また、これまでの輸出試験実績から本研究の目的達成に使用できるデータは僅かであることがほぼ判明しつつあるため、これらの限られたデータも活用し、本研究の目的達成に努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延のため、予定していた海外味覚審査機関への出品および輸出試験が実施できなかった。また、代替試験として航空機を介在した国内輸送試験(沖縄往復)も輸送業界の混乱と現地での対応が不可能な状態であったため実施できず、また試験前後の官能試験も学内での実施が制限されていた。研究の中心としていた試験自体の実施が、代替試験も含めて実施できないことが判明したため、これに必要な経費が執行できなかった。
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