研究課題/領域番号 |
19K06324
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
角谷 晃司 近畿大学, 薬学総合研究所, 教授 (10257983)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | サフラン / 低温処理 / 柱頭組織 / 開花 |
研究実績の概要 |
サフランの生育サイクルは、4月から9月頃が休眠期、9月中旬より萌芽、11月より出蕾、開花期となり、落花後、葉の繁茂による球根の肥大化の成長期、さらに2月から3月頃小球が分球する繁殖期である。サフランは限られた期間(2週間)に一斉に開花するため、柱頭組織の採取には多大な労力がかかり、生産者にとって最も大きな問題とされている。このような問題を克服し、柱頭組織を年間を通して安定に生産するためには、花茎組織を用いた柱頭組織誘導培養システムを確立することが必要である。また、開花時期をコントロールすることで、柱頭組織の誘導の材料となる花茎組織を長期に渡り採取できることが望まれる。そこで、本年度は、サフラン球根の低温処理により、開花期間の制御が可能かについて検討した。 まず、サフラン球根を閉鎖系恒温室に移し、温度処理を行った。今回、試験区あたり50個の球根を使用した。4℃で14日間低温処理後、16℃にて栽培(試験区1)、または25℃で栽培(試験区2)したところ、試験区1は処理開始8週目、試験区2は15週目で開花した。また、4℃で28日間低温処理後、16℃にて栽培(試験区3)、または25℃で栽培(試験区4)したところ、試験区3は処理開始10週目、試験区4は17週目で開花した。すなわち、サフラン球根を4℃の低温処理期間とその後の栽培温度(16℃及び25℃)で管理することで、柱頭組織誘導培養に必要な開花時期をコントロールすることが可能となった。尚、4℃の温度処理を続けた処理区(試験区5)および25℃の温度処理を続けた処理区(試験区6)では、いずれも開花は認められなかった。 以上、今回明らかにしたサフラン球根の低温処理による開花調節は、従来の栽培法にも適応することができ、一次的な柱頭組織の収穫作業を回避することが可能になると考えれる。また、柱頭組織用誘導組織の非破壊画像解析に活用することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症対策のための緊急事態宣言などで、継続した研究を行うことができなかった。サフランの球根を低温処理することにより、開花ならびに柱頭様組織の分化に必要な花茎組織の安定的な採取について検討することができたものの、サフラン花茎組織から柱頭様組織が分化する部位を特定化するための光透過画像解析法を開始することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
柱頭様組織は、カロテノイドであるクロシンを産生することから、特定の光吸収があると考えられる。今後の検討として、柱頭様組織に特異的な吸収波長を調査することで、光透過画像解析を開始していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
光透過画像解析法に必要なデジタル画像解析カメラを購入する予定であったが、令和2年度に実施することができなかったため。令和3年に実施する予定。
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