食材性昆虫であるシロアリの腸内に共生する難培養性の原生生物群集は、植物枯死体の分解に主要な働きを担っている。この共生原生生物群集は、宿主の生息地域や採集時期によらずほぼ同じ種構成で、腸内の生息比も宿主コロニー間で大きくは変わらない。このため共生原生生物は構成種間で、共適応が進んだ群集であると推定される。本研究では個々の生物種の木質分解という類似した機能に着目し、群集が共存して安定的に受け継がれる要因に関する知見を得ることを目的とする。共生原生生物のなかでも、木片を細胞内に多く取り込んでいることが観察される原生生物種は非常に大型の細胞で浸透圧の調整などが難しい。さらに、細胞内に取り込んでいる木片からの自家蛍光によりセルソーターでソーティングすることが難しいため、複数種が混在した腸内原生生物群集から特定種の細胞のみを多数回収することは困難である。 これまで属レベルで計測していた大型原生生物について、種レベルなどのより詳細な計数を行うために、細胞サイズなどの形態学的特徴と遺伝子配列との相関を検討した。
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