研究課題/領域番号 |
19K06339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山崎 秀雄 琉球大学, 理学部, 教授 (40222369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | D-アミノ酸 / 環境応答 / 絶滅危惧種 / 信号伝達系 / 精神薬 / Azolla |
研究成果の概要 |
水性シダ植物であるアカウキクサAzollaは、環境変化を検知すると、根を自切して分離拡散する特異な生理応答を示す。アカウキクサに見られる根脱離応答は、植物では最速の器官脱離現象であり、未知の機構が関与していると考えられている。今回、各種アミノ酸の効果を検討し、D-システインとD-セリンに強い根脱離誘導活性がある事を見出した。D-システインは、硫化水素および活性硫黄生成の生理的基質になっている可能性が高いと考えられる。また、精神薬がD-アミノ酸誘導性の根脱離反応に作用することから、植物の環境応答とヒト神経伝達機構に機構上の類似性があることが示唆される。
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自由記述の分野 |
環境生理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物のタンパク質はL-アミノ酸で構成されており、光学異性体のD-アミノ酸は細菌ペプチドグリカンの構成成分などが例外的に知られているだけだった。近年、哺乳類を含めた様々な生物でD-アミノ酸が検出されており、多様な生理機能を示すことが明らかになってきている。今回、アカウキクサで効果が見出されたD-セリンは、ヒトでは統合失調症等の脳疾患に深く関与していることが知られている。本研究の実施によって、アカウキクサの環境応答現象と、ヒト脳神経系とで機構上の類似点があることが薬理学的に示された。このことは、生物の外部刺激の検知応答メカニズムに共通性があることを示唆している。
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