研究課題/領域番号 |
19K06341
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
大迫 敬義 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80363969)
|
研究分担者 |
福永 健二 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (50435533)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ハマエノコロ / アワ / 耐塩性 / QTL解析 |
研究実績の概要 |
世界各地の農業生産において問題となっている土壌塩類集積を克服する手段として、塩ストレス耐性を持つ遺伝資源を利用した耐塩性作物品種の育成が有効である。雑穀アワの近縁野生型のうち、高い耐塩性を示す系統が複数見出されてきたハマエノコロの耐塩性の遺伝的基盤を解明し高耐塩性アワ系統の作出に資することを目的として、アワとハマエノコロの雑種後代F2集団を用いたQTL解析を実施した。耐塩性の低いアワ品種74-12-6-3(宮崎県)と、高耐塩性を示すハマエノコロ系統Jogashima 1(神奈川県)を交配して得た雑種の自殖後代であるF2分離集団96系統について、各系統を自殖させて得た種子を用いて水耕栽培により耐塩性を評価した。さらに、GRAS-Diによる遺伝子型決定を行い連鎖地図を作成し、耐塩性に関する遺伝子座のQTL解析を実施した。GRAS-Diにより得られた遺伝子型による連鎖解析の結果、1005個のマーカーからなる総計2002.1 cMの連鎖地図が構築された。QTL解析の結果、地上部ならびに地下部乾燥重量の対照区比に関する有意なQTLが第5染色体上に検出された。両形質は同一位置に座乗した。寄与率はそれぞれ19.1%、18.6%であった。この結果より、ハマエノコロの耐塩性は複数の遺伝子座により支配されていることが明らかとなった。本研究は、アワとハマエノコロの耐塩性の差異に関与する遺伝子座を解明した世界で初めての成果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画した、アワxハマエノコロ分離集団を用いた耐塩性QTL解析を実施し、有意なQTLの検出に成功した。また、エノコログサ(Katsurasaka 2)xハマエノコロ(Mitsu 4)雑種由来分離集団を育成し、F2系統のDNAを抽出するとともに耐塩性評価のための自殖種子を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度用いたハマエノコロJagashima 1とは由来の異なる高耐塩性ハマエノコロ系統Mitsu 4(京都府)と、耐塩性を持たないエノコログサKatsurasaka 2(京都府)の雑種由来分離集団を用いて、同様の手法によりQTL解析を行い、異なるQTLの検出を目指す。また、全国より収集された野生系統についても耐塩性評価ならびにGRAS-Di解析を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
GRAS-Di委託費用が当初見込額を下回った。次年度はGRAS-Di解析を行う野生系統数を増やす予定としている。
|