研究課題/領域番号 |
19K06342
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小川 拓水 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (00580367)
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研究分担者 |
太田 大策 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10305659)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ユーグレナ / ワックスエステル / 低酸素ストレス / ミトコンドリア / 還元的TCA回路 / 葉緑体 |
研究実績の概要 |
最終年度は、前年度に引き続き、ユーグレナのミトコンドリア単離法の検討を進めた。前年度はタンパク質分解酵素処理後に浸透圧ショックを与えて細胞を破砕する酵素法を採用したが、圧力式細胞破砕装置を用いる方法に変更した。細胞破砕時のバッファー組成、細胞濃度、窒素ガス充填圧力、撹拌方法等を変更して細胞破砕処理を行い、得られた細胞破砕液を顕微鏡下で観察し、約半数の細胞が破砕される条件を決定した。細胞破砕液を分画遠心法により分画し、粗ミトコンドリア標品を調製した。粗ミトコンドリア標品をパーコール密度勾配遠心法により分画し、ミトコンドリア標品を得た。本ミトコンドリア標品の呼吸活性をクラーク型酸素電極装置により測定し、呼吸基質添加による酸素消費速度の上昇を確認した。今後、本ミトコンドリア標品を用いて低酸素環境下で起動する二酸化炭素固定経路が担う生理機能解明を目指す。また、前年度の予備的な実験により、ワックスエステル蓄積増強活性を有する低分子化合物群の作用点が葉緑体に存在する可能性が示唆された。そこで、これら化合物群の作用機構を詳細に調べるために、葉緑体単離方法の検討を進めた。ミトコンドリアと同様にして調製した細胞破砕液を分画遠心法とパーコール密度勾配遠心法により分画し、葉緑体標品を得た。本葉緑体標品の光合成活性をクラーク型酸素電極装置により測定し、光照射下での重炭酸ナトリウム溶液添加による酸素発生速度の上昇を確認した。今後、本葉緑体標品を用いてワックスエステル蓄積増強活性を有する低分子化合物群の作用機構の解明を目指す。 本研究課題で得られた研究成果は、ユーグレナのオルガネラ間での物質輸送に関する基本的知見の獲得に繋がり、低酸素環境下での炭素代謝の全容解明に向け大きく道を開く可能性がある。
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