研究課題
化学農薬に代わる新たな土壌改良資材を開発しその有効性の評価をした。余剰杉バークと下水処理場の活性汚泥、浚渫脱水土と糠の混合比を変化させて作製した。指標生物として自活性線虫とBacillus subtillusを用いた。ヤマトイモ実圃場実験からBacillusは10の7乗個/g土壌、自活性線虫は1000頭/g土壌が連作障害抑制に有効だった。改良資材投入圃場は半年間安定的に指標生物数が増加した。調査したヤマトイモ被害はDNA解析によりMeloidogyne incognitaによるものであった。また、エダマメ圃場の被害抑制のためにオカラを混合した改良資材を開発した。資材投入前は平均12頭/100g乾燥土に対し投入後は平均5.3頭/100g乾燥土であった。DNA解析により被害圃場でダイズシストセンチュウとマメシストセンチュウの存在が確認され、孵化誘引材料の混合でシストセンチュウ被害抑制への有効性が示唆された。被害抑制効果をもたらす自活性線虫種とその由来を明らかにすべく原料別に自活性線虫種を調査した。下水処理場活性汚泥とオカラは加熱処理済みで線虫は生息しない。杉バークと脱水土、土壌改良資材及び改良資材投入・非投入圃場土壌の各々から線虫を分離して個体別にDNAを抽出後、分子系統解析で種を同定した。その結果、杉バークと脱水土にはAcrobeliodes sp.等共通の線虫種が認められ、土壌改良資材中で一旦それら線虫種は減少した。土壌改良資材にBacillusの産生する抗生物質に耐性をもつDistolabrellus veechiが多く認められ、Bacillusの改良資材中の増殖バランスに関与していると考えられた。改良資材は圃場の多様な線虫種の増殖を促進させると同時に一旦減少した杉バークと脱水土由来のAcrobeliodes sp.等の増殖を促し、連作障害抑制に有用であることが示された。
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International Congress of Nematology (ICN 2022), Book of abstracts
巻: - ページ: 619
7th STI-Gigaku 2022, Abstracts
巻: - ページ: 172