研究課題
基盤研究(C)
植物寄生性線虫による連作障害抑制のために、地域の未利用バイオマスとして林業の余剰杉バーク、し尿処理場の乾燥汚泥、池底泥脱水土等を混合発酵させた化学農薬に代わる新たな土壌改良資材を開発した。指標生物として自活性線虫とBacillus属細菌を用い、ヤマトイモ実圃場試験から連作障害抑制に有効な資材中の指標生物数と資材構成材料の混合比を決定した。DNA解析により、作物被害抑制効果をもたらす自活性線虫種を調査した。オカラを添加した開発改良資材は、エダマメ圃場のダイスシストセンチュウ抑制効果が認められた。
分子生理学
農作物の植物寄生性線虫被害による経済的損失は世界で年間数十兆円と見積もられ、連作障害抑止が第一の植物寄生性線虫被害の防除である。実圃場試験によりこの抑制効果が認められた土壌改良資材の開発は、国内外の農業への経済的効果のみならず、地域の未利用バイオマス、特に林業における杉バークの有効利用及びし尿処理場の乾燥汚泥の活用、化学農薬使用低減による安全かつ循環型農業の持続可能な社会への貢献に大きな意義がある。