研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ニワトリの生理的低エネルギー状態(抱卵)への適応とCRP及びレプチンとの関連性について解析を行った。その結果、CRPが摂取エネルギーを反映するマーカーであることを明らかにし、CRP発現の様子から抱卵中の肝臓の代謝が特異的に変化している可能性を見出した。その一方で、鳥類では哺乳類とは異なり、CRPとレプチンとの相互作用によりエネルギー代謝を制御する可能性は低いと考えられた。さらにCRPとレプチンのmRNA発現は神経回路構築が起こる発生後期から視床下部で増加することを明らかにした。
動物生理学
本研究の成果は、ニワトリが抱卵中の自律的なエネルギー摂取の抑制とそれに対する適応に炎症性マーカーの一つであるC反応性タンパク質(CRP)が関与する可能性を見出したもので、ニワトリの生殖とエネルギー摂取との関連を明らかにするうえで、学術的な意義は高い。さらに本研究では、発生後期のニワトリ胚視床下部でCRPとレプチンがともに増加することを今回初めて明らかにした。発生後期の視床下部における両因子の役割は明らかでなく、脳の機能発達と両因子の関係解明に向けた研究の進展が期待される。