研究課題
EDG1多型、TTN多型を、ウシ脂肪交雑原因変異として特定する有力な証拠を得るために、これらの有力候補多型の機能性、mRNAレベルおよびタンパク質レベルでの発現変動との関連、転写活性および核タンパク質との結合性に対する影響を解析することで、有力候補多型をそれぞれの遺伝子の発現変動の原因変異として同定することを本研究の目的とした。本研究の結果より、EDG1多型およびTTN多型は、それぞれEDG1およびTTNのmRNAレベル、タンパク質レベルと相関関係にあり、高脂肪交雑アリルであるEDG1多型のTアリル、TTN多型のTアリルが、それぞれEDG1の発現増加、TTNの発現減少と関連することが明らかになった。その一方、EDG1多型、TTN多型が転写活性に影響するか否かを調べたところ、それら2つの多型の両方において、高脂肪交雑アリルに対応するプロモーター領域と低脂肪交雑アリルに対応するプロモーター領域との間で転写活性に差が認められず、EDG1多型、TTN多型は、それぞれの遺伝子の転写活性に影響しないことが明らかになった。こうして、EDG1多型、TTN多型はそれぞれの遺伝子の発現変動の原因変異ではなく、ウシ脂肪交雑原因変異として認められないと考えられた。EDG1の発現増加、TTNの発現減少は、それぞれ、筋肉内血管形成、筋線維損傷を引き起こすことにより、脂肪交雑形成を誘導すると示唆されている。EDG1多型、TTN多型はそれぞれの遺伝子の発現変動さらには脂肪交雑形成能力との相関がみられることから、EDG1多型、TTN多型と連鎖不平衡にある近傍のDNA多型が、真の発現変動および脂肪交雑形成能力の原因変異になると考えられた。しかしながら、EDG1多型、TTN多型は、脂肪交雑形成能力の向上を目指したDNA育種技術のための分子マーカーとして有用であると考える。
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Animals
巻: 13 ページ: 195
巻: 13 ページ: 609