研究課題/領域番号 |
19K06352
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大石 風人 京都大学, 農学研究科, 助教 (50452280)
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研究分担者 |
廣岡 博之 京都大学, 農学研究科, 教授 (60192720)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家畜 / 動物管理・福祉 / 生体センシング / 心拍変動 / 動的体加速度 |
研究実績の概要 |
本研究は、医学分野で発展してきた心拍変動評価を自律神経活動バランスの生理的評価軸とし、一方、生態学分野で開発された動的体加速度評価を動物の動きを示す物理的評価軸として同時に活用し、さらに他の生理的・物理的評価と統合することで、家畜の健康状態やストレス等を評価する新たな方法として適用できるかを検討することを目的としている。 3年次である当該年度は、これまでに取得したデータを基に、3軸加速度センサーデータから算出した動的体加速度による定量的な評価指標および心拍間隔計測に基づく心拍変動評価指標を用いて、暑熱状態や飼料の違いなどの飼養管理要因の変化が反芻家畜のストレス状態に及ぼす影響を評価する分析手法の開発を行った。これにより、アニマルウェルフェア評価に対し、本課題で検討している生理的・物理的統合評価手法が有効な手法であることが認められた。また、飼養管理に対する別の要因として、新たに肉用牛の管理における敷料の影響評価を試みるため、これまでと同様に肉用牛の3軸加速度センサーデータおよび心拍間隔データの取得を実施した。さらには、飼料の違いが心拍変動指標に及ぼす影響を詳細に検討するため、めん羊を実験動物として用い、粗飼料多給時および濃厚飼料多給時での給餌直後の経時的な心拍間隔データを収集し、同時に反芻行動に着目した行動様式の定性的な評価も行い、その上で心拍変動指標の変化を評価した。これらの内容について投稿論文2件が国際論文誌へ掲載され、また次年度での検証用追加データの収集や投稿論文としての取りまとめを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度も前年度と同様に新型コロナウィルスの蔓延により他県試験場での大型家畜を用いた試験の実施回数は当初計画よりは減少したが、一部、中小家畜での小規模実験を当初計画よりも増やし、また大型家畜に対する試験回数は減少したものの実施した試験においては新たな試験条件でのデータ取得が実現できたことから、結果として、進捗状況は当初の計画とほぼ同様の進捗状況であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、当初計画通り、これまで収集したデータに加え、様々な飼養条件下での各種家畜動物を用いたさらなる試験の実施およびデータの収集を基に、生理的・物理的評価指標の関係性解析および本課題の手法開発を実施し、成果として取りまとめることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠隔地での試験実施のための旅費および試験消耗品費などでの使用を予定していたが、新型コロナウィルスの蔓延により実施回数が当初予定より減少し、その分の経費が次年度使用額として生じた。この次年度使用額は、次年度での試験実施の他、学会参加や論文校正・投稿料等に利用することを予定している。
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