研究課題/領域番号 |
19K06356
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
仲西 友紀 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20717889)
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研究分担者 |
菅本 和寛 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10274771)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フィタン酸 / 免疫調節作用 |
研究実績の概要 |
フィタン酸の3R体及び3S体のジアステレオ混合物を用いた機能性評価を継続して行った。昨年度までのマウス脾臓細胞を用いた検討で、フィタン酸のジアステレオ混合物によってinterferon (IFN)-gamma、interleukin (IL)-2、IL-4、IL-17Aなどのサイトカインの産生が抑制されることが示されていた。この点に関して、更なる本年度の取組みによって、上記のサイトカイン産生抑制作用は、フィタン酸がT細胞に直接作用することで引き起こされること、またフィタン酸はTh2系サイトカイン(IL-4など)に比べ、Th1系サイトカイン(IFN-gammaなど)やTh17系サイトカイン(IL-17A)に対してより強力に抑制作用を発揮することが示された。 また本年度はフィタン酸の機能性評価の評価対象をB細胞やマクロファージに拡大した。その結果、B細胞からの抗体(IgMおよびIgG)の産生ならびにマクロファージからの一酸化窒素の産生が、フィタン酸のジアステレオ混合物によって抑制されることが明らかとなった。また、B細胞やマクロファージに対するフィタン酸の作用は、T細胞に対する作用と同等もしくはそれ以上であった。Th1系およびTh17系サイトカイン、抗体、一酸化窒素は関節リウマチや炎症性腸疾患の発症に関与するため、フィタン酸はこれらの疾患に対して有効性を示す可能性がある。 一方、本年度までの評価はジアステレオ混合物を中心に行われており、3R体と3S体の作用の強弱については結論を出すに至っていないのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フィタン酸の免疫調節作用がT細胞以外にも、B細胞やマクロファージに及ぶことを明らかにしたことは、本年度の大きな進捗と捉えている。しかしながら、3R体および3S体のどちらが免疫調節作用の活性本体かという点については結論を出すに至っていない。3R体と3S体の異性体別評価は本研究課題の主目的であり、全体の進捗状況としては、「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Th1系およびTh17系サイトカイン、抗体、一酸化窒素の産生など、これまでの検討でジアステレオ混合物が抑制作用を示した項目について、3R体および3S体の異性体別評価を実施し、フィタン酸の免疫調節作用の活性本体がどちらの異性体なのかを明らかにする。 また、免疫疾患のマウスモデルを作成し、フィタン酸の有用性を培養細胞レベルのみならず動物個体レベルでも実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の主目的であるフィタン酸3R体および3S体の異性体別評価が完結しておらず、次年度に継続して試験を実施するため。
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