研究成果の概要 |
本研究では、牛乳・牛肉に含まれる新規機能性脂質フィタン酸に着目し、その免疫調節作用の詳細を調べた。その結果、フィタン酸はマウスT細胞からのサイトカイン産生を抑制し、特にTh1系やTh17系サイトカインに対して強く作用することが明らかになった。またフィタン酸はB細胞の抗体産生やマクロファージのNO産生も抑制した。更にフィタン酸はデキストラン硫酸ナトリウム誘発マウス大腸炎モデルにおける体重減少や腸粘膜肥厚を抑制した。また、牛乳や牛肉中のフィタン酸には3R,7R,11R-体と3S,7R,11R-体の2つの異性体があるが、Th1系サイトカインに対する抑制効果は3S,7R,11R-体の方が強かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
牛乳や牛肉などの畜産物はフィタン酸の天然の摂取源であり、8つあるフィタン異性体の中で3R,7R,11R-体(3R体)と3S,7R,11R-体(3S体)の2つを含んでいる。フィタン酸は免疫調節作用などの生理活性を有する機能性脂質として注目を集めてきた。本研究では、フィタン酸が培養細胞レベルのみならず動物個体レベルでも有効性を発揮する可能性が示され、更に3R体と3S体の免疫調節作用の差異についても新たな知見を得た。
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