研究課題/領域番号 |
19K06357
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
井尻 大地 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (50551090)
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研究分担者 |
大塚 彰 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10233173)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗酸化酵素 / 抗酸化資材 / 肉質 |
研究実績の概要 |
肉用鶏や採卵鶏の生産現場では、孵化場から生産農場までの輸送時間が生じる。肉用鶏に対する孵化後の飼料給与の開始が遅れると、骨格筋において抗酸化酵素 の遺伝子発現が低下し、出荷時の鶏肉品質の低下(脂質過酸化物量の増加や旨味値の低下)が生じる。 2019年度は、飼料給与の開始の遅れにより骨格筋の抗酸化酵素の遺伝子発現の低下が起こる日齢の同定を行なった。同じ日に孵化したヒナを2群(対照区と遅延区)に分け、孵化の直後または2日後から飼料給与を開始 し、試験開始の0、2、4、および13日後に解体を行い、採取した骨格筋のGSH-Px、SODのmRNA発現量および脂質過酸化物量を調べた。その結果、2、4、ならびに13 日齢時点において、遅延区の浅胸筋の脂質過酸化レベルは対照区と比較して有意に高く、遅延区の浅胸筋のSOD mRNA発現量は対照区と比較して有意に低かった。 これらの結果より、孵化後の飼料給与開始が2日遅れたヒナは、孵化直後から飼料を摂取したヒナと比較して、2日齢の飼料給与開始時点から浅胸筋中のSOD mRNA の発現量の低下と浅胸筋の脂質過酸化の増加が起こることが明らかとなった。 2020年度は、ヒナの骨格筋における抗酸化酵素の遺伝子発現量の増強作用を持つ飼料資材の検討を行った。定法に従い14日齢まで飼育した鶏に対して、抗酸化資材としてニーム葉抽出物または柑橘摘果果実の給与を行い、骨格筋のGSH-PxおよびSOD遺伝子の発現量に及ぼす影響を調べた。その結果、ニーム葉抽出物の給与によりGSH-PxおよびSOD遺伝子が優位に増加することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画通り、骨格筋の抗酸化酵素の遺伝子発現を惹起する抗酸化資材の選出ができたが、飼料給与の遅れによる抗酸化酵素の発現量低下を軽減するか否かまでを検討できなかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、抗酸化酵素(GSH-PXやSOD)の遺伝子発現量を 増加させる飼料資材を用いて、飼料給与開始の遅れによる鶏肉の品質低下を軽減する飼養管理方法への応用を目指す。
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