2019年度は、飼料給与の開始の遅れにより骨格筋の抗酸化酵素の遺伝子発現の低下が起こる日齢の同定を行なった。同じ日に孵化したヒナを2群(対照区と遅延 区)に分け、孵化の直後または2日後から飼料給与を開始 し、試験開始の0、2、4、および13日後に解体を行い、採取した骨格筋のGSH-Px、SODのmRNA発現量およ び脂質過酸化物量を調べた。その結果、2、4、ならびに13 日齢時点において、遅延区の浅胸筋の脂質過酸化レベルは対照区と比較して有意に高く、遅延区の浅 胸筋のSOD mRNA発現量は対照区と比較して有意に低かった。 2020年度は、ヒナの骨格筋における抗酸化酵素の遺伝子発現量の増強作用を持つ飼料資材の検討を行った。その結果、ニーム葉抽出物の給与により骨格筋のGSH-PxおよびSOD遺伝子が有意に増加し、脂質過酸化度を低く抑えることが明らかとなった。 2021年度は、抗酸化飼料資材としてタンカン摘果果実の乾燥粉末を用いた飼養試験を行った。その結果、タンカン摘果果実が骨格筋の脂質過酸化度を低く抑えることが明らかとなった。また、飼料給与の開始が遅れたヒナの暑熱耐性を調べた。同じ日に孵化したヒナを2群(対照区と遅延区)に分け、孵化の直後または2日後から飼料給与を開始し、試験開始の14日齢から14日間の暑熱感作を行った。遅延区のヒナは、対照区のヒナと比較して、14日齢時点の体重が有意に低かった。暑熱感作は、遅延区の体重および飼料摂取量をさらに低下させた。しかしながら、飼料給与開始時期と暑熱感作の交互作用は認められなかった。
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