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2019 年度 実施状況報告書

鳥類卵の受精における多精防止の分子機構の解明と鳥類卵の長期保存法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K06363
研究機関北海道大学

研究代表者

水島 秀成  北海道大学, 理学研究院, 助教 (20515382)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードウズラ / 多精侵入 / 余剰精子核 / 消化
研究実績の概要

鳥類の受精は複数の精子が卵細胞質内に連続的に侵入する多精侵入によって達成されるが、卵内で起こる受精シグナルングに関してはほとんど分かっていない。我々は、ホスフォリパーゼCゼータ(PLCZ)、クエン酸合成酵素(CS)およびアコニット酸ヒドラターゼ(AH)を卵細胞質内に放出される精子由来の卵賦活化因子として同定することに成功し、卵の減数分裂の再開にはそれぞれのタンパク量が精子100個分以上必要であることを明らかにしてきた。しかし、雌性核と融合する精子核は1個のみであり、その他の余剰精子核は受精の過程で卵細胞質内で消化されることが分かっているが、その消化を惹起する分子シグナリングについては不明である。本年度は、その分子機構を明らかにするための実験を行った。
プロテオームおよびcDNA解析を行った結果、排卵直後のウズラ卵には他動物卵では見られない特異的な核分解酵素(DNase)が発現していることが分かり、またそのDNase(EDNase)には精子のDNAを分解できる能力が備わっていることも明らかとなった。しかしながら、受精して間もなくEDNaseは分解されることが判明し、この分解は精子由来のCSとAHが起点となった卵プロテアソームによるものであり、CSとAHが惹起する卵細胞質内カルシウムシグナルングとは独立した経路であることも分かってきた。また、更なる研究からEDNaseと同類のDNaseが精子の頭部(SDNase)に発現していることが分かってきたため、受精後の卵細胞質内におけるSDNaseの挙動について解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予想とは異った結果ではあるものの、更なる鳥類に特異な受精機構の一端が明らかとなってきた一方で、精子核分解に関わる分子シグナリングの実体がまだ不明であるため。

今後の研究の推進方策

遅延した研究を鋭意進めるとともに、受精能を保持する未受精卵の長期保存することができる条件も確立されつつあるため、更なる条件改良とそのメカニズムを明らかにすることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響により、年度末の研究出張や参加予定の学会が開催中止となり、それらに必要な旅費等に充てることができなかった。
次年度に遅延している実験のより詳細な解析を進めるために必要な試薬等を購入に充てる計画である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Expression of transferrin and albumin in the sperm-storage tubules of Japanese quail and their possible involvement in long-term sperm storage.2020

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki, M., Mizushima, S., Dohra, H., Sasanami, T.
    • 雑誌名

      Journal of Poultry Science

      巻: 57 ページ: 88-96

    • DOI

      10.2141/jpsa.0190049

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spiny rat SRY lacks a long Q-rich domain and is not stable in transgenic mice2019

    • 著者名/発表者名
      Ogata, Y., Nishikata, M., Kitada, K., Mizushima, S., Jogahara, T., Kuroiwa, A.
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics

      巻: 248 ページ: 748-794

    • DOI

      10.1002/dvdy.73

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of the Sox3 gene in XO/XO mammal without Sry, the Amami spiny rat, Tokudaia osimensis2019

    • 著者名/発表者名
      Washio, K., Mizushima, S., Jogahara, T., Kuroiwa, A.
    • 雑誌名

      Cytogenetics and Genome Research

      巻: 159 ページ: 143-150

    • DOI

      10.1159/000504313

    • 査読あり
  • [学会発表] 雄ウズラの生殖腺におけるDAZLの発現解析2020

    • 著者名/発表者名
      水島秀成, 塚田光, 笹浪知宏, 小野珠乙, 黒岩麻里
    • 学会等名
      日本家禽学会2020年度春季大会
  • [学会発表] ウズラの性染色体遺伝子ノックアウト技術の開発2019

    • 著者名/発表者名
      水島秀成
    • 学会等名
      遺伝研研究会「有性生殖にかかわる染色体・クロマチン・核動態に関する研究会」
  • [学会発表] The role of inositol-trisphosphate receptors during egg activation in Japanese quail2019

    • 著者名/発表者名
      Mizushima, S., Sasanami, T., Ono, T., Kuroiwa, A.
    • 学会等名
      The 2nd International conference on Tropical Animal Science and Production 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] ウズラ精子のダイニンATPase活性2019

    • 著者名/発表者名
      笹浪知宏, 松崎芽衣, 水島秀成
    • 学会等名
      日本家禽学会2019年度秋季大会
  • [学会発表] トゲネズミ属におけるSRY遺伝子に依存しない性決定の分子メカニズム2019

    • 著者名/発表者名
      黒岩麻里,奥野未来,伊藤武彦,寺尾美穂,小川湧也,高田修治,水島秀成
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ウズラの生殖腺における生殖細胞特異的遺伝子の発現解析2019

    • 著者名/発表者名
      水島秀成,佐藤望,塚田光,笹浪知宏,小野珠乙,黒岩麻里
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ニホンウズラにおける性分化関連遺伝子および新規性決定候補遺伝子の解析2019

    • 著者名/発表者名
      宮本淳太郎,奥野未来,伊藤武彦,水島秀成,黒岩麻里
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [備考] 北海道大学大学院理学研究院HP

    • URL

      https://www2.sci.hokudai.ac.jp/faculty/researcher/shusei-mizushima

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公開日: 2021-01-27  

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