研究課題
基盤研究(C)
本課題では、多精受精動物であるウズラの卵賦活化(卵の発生開始)に関わるシグナリングの解析を中心に行った。ウズラの卵賦活化に必須である2つのCa2+増加反応(一過性型と反復振動型)を仲介する3つの母性Ca2+受容体を同定することに成功を収めるとともに、卵の減数分裂再開シグナリングの活性化には一過性型のCa2+波のみが関与することを突き止めた。また雌性核との融合に与らない精子核の分解に、卵由来の核分解酵素は関与しないことを明らかにした。
鳥類生殖工学
1細胞期受精卵を材料とした哺乳類生命工学技術を鳥類へ外挿するという点で、鳥類に特異な多精受精シグナルングの解析は必要不可欠な研究課題である。特に「受精直後に起こる卵由来DNA分解酵素の消失」という発見は、ゲノム編集ウズラを作出する上で、重要な知見として働いた。また本課題では、これまでに成功例を見ていない「受精能を保持した未受精卵」の保存法の確立にも成功を収め、これらの応用は新規鳥類生命工学技術の発展・構築に貢献すると考えられる。