研究実績の概要 |
これまでの研究において、糖ヌクレオチドとしてウシ初乳(ホルスタイン、ブラウンスイス)にはUDP-GalとUDP-Glc、ヤギ初乳(日本ザーネン)とヒツジ初乳(コリデール)にはUDP-Gal, UDP-GlcとともにUDP-GlcNAc, UDP-GalNAcが発見されたが、他のヒツジ(サフォーク、フライスランド)にはそれらは発見できなかった。この分析結果は、International Dairy Journal, 113 (2021) 104897 (Y. Mineguchi et al., Characterisation of sugar nucleotides in colostrum of dairy domestic farms animals)に掲載された。その一方、以前ヒツジ初乳(コリデール)に発見されたNeu5Gcα2-3Galβ1-4GlcNAc-UDPとNeu5Gcα2-6Galβ1-4GlcNAc-UDPは発見できず、オリゴ糖ヌクレオチドは乳サンプルに不変的に含まれるのではなく、それらの存在は動物個体や搾乳時の違いにより不均一であることが明らかになった。従来の分析においてヤギ初乳にオリゴ糖ヌクレオチドの存在が報告されたことがあるものの、その後報告例のないこともそれを示唆している。 令和2年度において、家畜初乳に含まれる代表的な糖ヌクレオチドとしてUDP-Galを使用し、腸管上皮HIEC-6細胞の培養系に3点の濃度(0.01 mg/mL, 0,1 mg/mL, 1 mg/mL)において添加して培養し、培養後10日目、11日目、12日目における細胞数を計測することで増殖刺激効果の観察を行った。ポジティブコントロールとしてはhEGFを使用した。有意差検定の結果、HIEC-6細胞には増殖刺激効果は観察できなかった。昨年の分析では増殖刺激傾向が観察されたが、同様の結果がえられなかったのは、新たに購入した増殖能力の高い細胞を使用したことによると思われる。
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